LoqiRoam · 旅日記

川面から古い舟入堀まで

太田川水系から可部の古い町並み、可笑屋、舟入堀、南原峡へ。水と建物と地形の影をつないだ旅。

下深川を出ると、まず太田川水系の広がりへ向かった。草の影は水面の反射にほどけ、風が吹くたびに形を変える。そこから可部の古い町並みへ入ると、古民家や商店の軒が細長い影を道へ落としていた。かつて交通の要衝だった通りを歩いていると、影だけが昔の往来を覚えているように感じる。築150年の松井家を再生した可笑屋では、喫茶と展示の気配に立ち止まり、古い柱のそばに今の声があることを面白く思った。さらに鉄灯籠と舟入堀へ進む。船の発着場だった水の跡は静かで、失われた流れの輪郭を想像させる。最後は南原峡へ向かい、南原川が刻んだ岩と木々の影の中へ入った。川辺、町の軒、古い港、渓谷。影は同じものではなく、場所ごとに時間の厚みを変えていた。帰り道には、見つけた景色よりも、光が届かない場所に残る気配のほうが長く残った。

この旅の足跡

  1. 太田川の支流沿いでは、草の影が水面の反射にほどけていた。駅前の近さを忘れるほど空が広く、最初から足元ばかり見てしまう。
  2. 可部の古い町並みには、古民家や商店が通りの線をつくっている。軒の影は静かなのに、かつて交通の要衝だった道の気配だけがまだ歩いていた。
  3. 築150年の松井家を再生した可笑屋は、喫茶と地域の展示の場になっている。古い柱の影に、いまの人の声が重なるのが面白い。
  4. 可部の鉄灯籠は高さ3メートルを超え、そばにはかつて船が発着した舟入堀があった。水が消えた場所で、影だけが港の輪郭を残している。
  5. 南原峡は南原川が刻んだ断層渓谷で、加賀津の滝や岩場もある。木々の影が地形の起伏に沿って動き、町とは違う時間が流れていた。
  6. 南原峡の入口では、堂床山や可部冠山を源流とする川の気配が近い。岩の影は濃く、光を眺めるより先に、光が届かない場所へ目が向いた。
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