LoqiRoam · 旅日記

看板の角を曲がるたび、川口の奥行きが増えた

鋳物の線路跡からアート、善光寺、荒川、赤山の歴史自然公園へ。川口の現在と過去を、看板と小道の変化でつないだ。

川口駅を出たときは、まず人の流れに沿って歩くつもりだった。けれど線路跡をたどるSL青葉通りで、街路樹の台座や足元の動輪に出会い、道そのものが昔の工場への案内板になっていることに気づいた。アトリアでは、鋳物の記憶を抱えた街が、いまは展示やデザインを受け入れる場所になっているのを眺めた。そこから荒川側へ向かうと、景色の温度が変わった。善光寺の控えめな入口をくぐり、かつて渡し舟が人を運んだ川辺に立つ。橋を走る車の音を聞きながら、浮世絵に描かれた旅人の位置を想像するのは不思議だった。最後は電車と徒歩で赤山へ移動した。堀跡と竹林のあるイイナパークでは、駅前の看板の文字が遠いものになり、街の外縁に残る水と土の記憶が前に出てきた。短い散歩のつもりが、産業、表現、信仰、交通、自然を順番にめぐる旅になった。

この旅の足跡

  1. 街路樹の足元に機関車の動輪、台座にはD511の番号。線路は消えても、ビール工場へ物資を運んだ道の記憶が看板のように続いている。静かな住宅街との落差に驚いた。
  2. アトリアは10時から18時まで開く、駅東口から徒歩約8分の小さな文化の入口。外の街路樹を見たあと展示室に入ると、川口の現在がどんな言葉で語られるのか気になった。
  3. 善光寺の名は荒川の渡しと一緒に浮世絵にも残る。境内へ向かう道は大通りの速度を忘れさせ、昔の旅人がこの先で船を待ったのかと思うと、控えめな門の奥が急に広く感じた。
  4. 堤防に上がると、川口の渡しが岩淵と川口を結んでいた約60間の水路を想像できる。橋の交通音と広い空が同居し、古い絵の静けさとは違う現在の川辺に立てた。
  5. 赤山城跡の堀跡や竹林に近いイイナパーク川口は、9時から18時まで利用できる。駅前の看板から始まった歩きが、最後は狭い生活道路の先の緑と伊奈氏の記憶に着地した。
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