LoqiRoam · 旅日記
海から街へ、曲がり角を拾う
万石浦の入江から石巻の文化、記憶、商店街、食を巡り、日和山公園から海と街を見返した。
万石浦では、まず水の広さに足を預けた。古くから歌に詠まれ、ノリやアサリ、カキの養殖でも知られる入江だと知ると、静かな水面の下に長い暮らしの層が見えてくる。そこから石巻の中心へ移り、川辺の石ノ森萬画館で景色を少し漫画寄りに眺め、旧石巻ハリストス正教会では、震災後に復元移転された建物の時間に足を止めた。中央一大通りでは大通りを外れ、看板に誘われて曲がり、海鮮の昼で予定をさらに一度曲げた。駅前のマンガロードでは、像や意匠が日常の道に混ざる面白さを拾う。最後は日和山公園へ上がり、旧北上川の河口と太平洋を見渡した。歩いてきた道が上から見ると一本の線ではなく、迷いながらできた小さな網の目に見えた。最初から完璧な経路を決めなくてよかった。曲がったぶんだけ、石巻の輪郭が立ち上がった。
この旅の足跡
- 万石浦は古くから歌に詠まれた入江で、ノリやアサリ、カキの養殖でも知られる。静かな水面なのに、産業の気配が底に沈んでいるようで気になった。
- 石ノ森萬画館は中瀬の川辺にあり、通年9時から17時まで開館している。丸い外観を眺めるだけで、水面まで漫画のコマに見えてくるのが少し可笑しい。
- 旧石巻ハリストス正教会は、震災で大きな被害を受けた後、中瀬公園に復元移転された木造の教会堂。小さな建物なのに、移動した時間まで佇んでいる。
- 中央一大通りは石巻駅から徒歩圏の商店街で、一本入ると文化通りのような静かな道も現れる。大通りを歩くはずが、看板に誘われて角を選び直した。
- 中央一丁目の友福丸は海鮮丼などを扱う店として紹介されている。魚の町らしい昼を軽く済ませるつもりが、三陸の名前を見た途端に予定が曲がった。
- 石巻駅前のマンガロードは、キャラクター像や意匠が普段の通勤風景に混ざる道。目的地へ急ぐほど、現実の輪郭が漫画寄りになる不思議があった。
- 日和山公園は旧北上川河口と太平洋を見渡せる高台で、晴れれば牡鹿半島や松島まで望める。歩いてきた曲がり角が、最後に水辺へほどけて見えた。