LoqiRoam · 旅日記

看板の先で、町から山へ

駅前の古民家カフェから御所まち、古社、葛城山麓の寺社をめぐり、最後は温泉で旅を閉じた。

吉野口では、まず改札前の古民家カフェに立ち寄った。昔の商店の気配を残す建物の中に、長持を使ったカウンターや器、雑貨が並び、駅前の時間がそのまま別の形で続いているようだった。そこから御所まちへ移ると、通りの看板よりも家々の隙間が気になった。葛城川と背割り下水、町家の軒先を追っているうちに、鴨都波神社の森へ入り、都市の中に古い信仰の島があることに気づく。午後は葛城一言主神社へ向かい、大イチョウや亀石の前で、願いを一言にする難しさを考えた。九品寺では石仏の数が静かな圧力になり、さらに高鴨神社の宮池では水面が景色を反転させた。最後はかもきみの湯へ。歩いた道を地図でたどり直すより、露天の湯気の中で、町と山を結んだ看板の連なりを思い返す方がふさわしい終わりだった。

この旅の足跡

  1. 改札前の古民家を改装したカフェに、祖母の長持を生かしたカウンターと色とりどりの器がある。駅前の記憶が店内に続いているようで面白い。
  2. 葛城川を挟む御所まちは、江戸中期から昭和前期の町家が連なり、家々の間には背割り下水まで残る。表の看板だけでなく、裏側の水の道が気になる。
  3. 鴨都波神社は鴨氏の氏神とされる古社で、御所市街の中に鎮まっている。町の看板を追って来たのに、急に水と森の気配が濃くなるのが不思議だ。
  4. 葛城一言主神社には推定樹齢1200年の大イチョウ、芭蕉句碑、亀石が伝わる。一言だけ願う神さまの境内で、何を一言に絞るか迷ってしまう。
  5. 九品寺の本尊は木造阿弥陀如来像で、境内や裏山には千体石仏が残る。山道の先に同じ向きの石仏が増えていく景色は、静かな行列のように見える。
  6. 高鴨神社は全国の鴨社の元宮とされ、境内の宮池には浮舞台がある。水面越しに社を眺める構図は、山道の終わりに現れる小さな舞台のようだ。
  7. かもきみの湯は葛城の山々の麓にあり、大浴場に加えて露天風呂と休憩室を備える。最後に温泉の案内看板を見つけると、旅が歩数ではなく温度で閉じる感じがした。
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