LoqiRoam · 旅日記

看板の先で、神通川に出会う

猪谷関所館から林林、神通峡、片路峡、笹津橋へ。人の往来を伝える道と川の景色をつないだ散歩。

猪谷駅の近くから歩き始めると、最初に現れたのは西猪谷関所の記憶を抱える小さな館だった。古文書や円空仏の展示を見ているうち、ここが昔から人と荷物の行き交う境目だったことが、地名よりも具体的に感じられた。国道41号を南へ進むと、林林ではらっきょう漬け、山菜、はちみつ、飛騨の品までが同じ棚で呼吸している。県境は地図の線より、こうした味の並びに宿るのかもしれない。そこから神通峡へ向かうと、道と鉄道と川が山裾を縫い、人工のダムと深い谷が一枚の景色になった。寺津周辺では橋の上から水の流れを見下ろし、細い道を進む慎重さも旅の一部にした。最後に笹津橋のアーチを眺めると、昔の関所から今の交通まで、谷を越える工夫が一本の線につながった。派手な名所巡りではないのに、看板の文字、橋の曲線、川沿いの小道が次々と次の発見を連れてきてくれた。

この旅の足跡

  1. 駅前の小さな館なのに、古文書だけでなく籠渡しのVRまである。昔の旅人がこの谷を越えた緊張が、展示の向こうから急に近づいてきた。
  2. 林林の看板を見つけたら、らっきょう漬けや山菜昆布〆から飛騨牛コロッケまで、越中と飛騨が一つの棚に並ぶ。県境は線ではなく味の混ざり方なのかもしれない。
  3. 神通峡では、山裾を国道と高山本線が神通川に沿って縫う。ダムの人工物と四季の峡谷が同じ眺めに収まるのが不思議で、川が道を案内しているように見えた。
  4. 寺津から薄波へ続く片路峡は約2.6km。橋の上では川が谷を削った力を想像できるのに、近くの道路は意外に細く、景色を見るにも慎重さが要る。
  5. 笹津橋は昭和16年完成の約65mのアーチ橋で、戦前の橋として全国でも大きなスパンを持つ。山と川の間に描かれた曲線が、旅の最後の看板になった。
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