LoqiRoam · 旅日記

影の長さを測る備北の午後

森と水辺から古墳と妖怪文化へ、影の見え方が変わっていく備北・三次の小旅行。

高駅を出たとき、旅はまだ輪郭を持っていなかった。芸備線の先で国営備北丘陵公園へ入り、森と湖のあいだに落ちる影を追ううち、広さそのものより、風で形を変える木陰に心が引かれた。里山の駅で地図を眺め、上野公園の水面に遅れて揺れる枝を見てから、庄原の静けさを離れて三次へ向かった。尾関山公園では斜面の影が町へ流れ、風土記の丘では古墳の土に時間が沈んでいた。最後にもののけミュージアムで、目に見えないものを語る文化に触れる。帰り道、夕方の家々の影が、ただ暗いだけではなく、土地がそっと残した余韻に見えた。

この旅の足跡

  1. 国営備北丘陵公園は、森と湖に囲まれた340haの丘陵公園。広さに少し気後れしたが、芝生へ落ちる木々の影が風でほどけ、歩く速度まで変えていった。
  2. 里山の駅 庄原ふらりは国営公園に隣接する地域の案内拠点で、開園日に9時30分から16時30分まで開く。旅の地図を眺めながら、ここでは影より人の気配が印象に残った。
  3. 上野公園は庄原中心部の東にある公園で、池の水面と樹木の重なりが静かな陰影をつくる。水に映った桜の枝は、実物より少し遅れて揺れていた。
  4. 尾関山公園は三次町の山にあり、桜と紅葉の名所として知られる。夏の木陰は花の記憶を隠しているのに、斜面の石段だけが季節を越えて明るく見えた。
  5. みよし風土記の丘には古墳群と歴史民俗資料館があり、資料館は9時から17時まで。土の盛り上がりに落ちる草の影を見ていると、地面にも記憶の層がある気がした。
  6. 三次もののけミュージアムは日本の妖怪を専門に扱う博物館で、尾関山公園から徒歩圏にある。見えないものの話を聞いたあと、夕方の町角の影が少しだけ生き物に見えた。
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