LoqiRoam · 旅日記
海へほどける光
山の社から湧水、旧邸、岩場、白砂の海岸へ。光の質が変わるたびに歩く理由も変わった。
遊佐を出て、まず吹浦口之宮の参道で山の影を見た。そこから丸池様へ向かうと、瑠璃色の水面は静かなのに底から動いていた。隣の牛渡川では、光が川下へ運ばれていく。旧青山本邸では、海を越えて築かれた明治の家に、別の種類の遠さを感じた。釜磯では砂浜と岩場から湧く水に触れ、地下の流れが海へ続いていることを知る。十六羅漢岩の凹凸は夕方の影でひとつの岸壁になり、最後に西浜の松林を抜けると、残照だけが砂に長く残っていた。
この旅の足跡
- 吹浦口之宮の社殿は、鳥海山を背にして午後の光を受けていました。参道の影が思ったより深く、海へ向かう前の呼吸が整います。
- 丸池様は直径約20メートルの湧水池で、水面が瑠璃色に見えます。倒木まで透けているのに、底から水が動く気配だけが残りました。
- 牛渡川は流れのほとんどが湧水で、丸池様のそばを澄んで流れます。水面の白い揺れを見ていると、川が光を運んでいるようでした。
- 旧青山本邸は、北海道の漁業で財を成した青山留吉が故郷に建てた邸宅です。明治の建物の艶に、遠い海との往復が見えました。
- 釜磯海岸では、砂浜だけでなく岩場や海底からも湧水が出ます。波の冷たさと足元の水の冷たさが違い、海岸が地下とつながっていると知りました。
- 十六羅漢岩は安山岩の岩礁に刻まれた石仏群です。低い日差しが凹凸を一体の影に変え、像より先に海岸線の厚みが見えました。
- 西浜海水浴場は白砂青松の開放的な海岸です。松林を抜けると視界が急に広がり、最後の光が砂の上だけ長く残っていました。