LoqiRoam · 旅日記

返さない波から、湾を見守る灯台まで

片寄せ波の浪板海岸から、湧水、城跡、文化施設を経て蓬莱島へ。海と町の記憶を小道づたいにたどった。

浪板海岸では、寄せるのに返さない波という言葉を手がかりに歩き始めた。砂浜の向こうには、木製デッキの浪板海岸ビレッジがあり、サーフショップの看板と宮沢賢治の詩碑が同じ海風の中に並んでいた。吉里吉里海岸では景色が一気に広がり、フィッシャリーナの公園から海を眺める。そこから町へ入り、源水川で淡水型イトヨの気配を探すと、海のすぐ近くに別の水の時間が流れていることに気づいた。大槌城跡へ続く小道では、海と川に囲まれた地形が昔の城の理由を語ってくれる。おしゃっちで震災の記憶と今の町の声に触れたあと、赤浜の蓬莱島へ向かった。ひょうたん形の島、赤い灯台、弁天神社。最後に残ったのは、道は目的地を結ぶだけでなく、土地の記憶の読み方まで少しずつ変えていく、という感覚だった。

この旅の足跡

  1. 浪板海岸は、寄せるのに返さない「片寄せ波」で知られる。砂浜の変化を見ていると、海が道の形まで書き換えているようで、なぜ波だけが戻らないのか気になった。
  2. 浪板海岸ビレッジの木製デッキは、外廊下のように店をつないでいる。近くには宮沢賢治の詩碑もあり、サーフショップの看板と詩の言葉が同じ海風を受けているのが面白い。
  3. 吉里吉里海岸はブルーフラッグ認証を受けた穏やかな砂浜で、北側には270度の海を見渡せるフィッシャリーナ公園がある。砂の名が「鳴き砂」に由来するのに、今は静かなのも気になる。
  4. 源水川では県内唯一とされる淡水型イトヨが暮らし、冷たい湧水には梅花藻も見られる。海の町に、海へ出ず一生を川で過ごす魚がいるとは思わなかった。
  5. 大槌城跡は、沿岸を治めた大槌氏の山城で、天険を利用した難攻不落の居城だったという。木立の間の道を上ると、海と川に囲まれた町の形を読みたくなる。
  6. おしゃっちは大槌町の文化交流センターで、震災伝承展示や思い出の写真返還会など、町の記憶を受け渡す場になっている。城跡の昔から現在の声へ、道が続いた。
  7. 蓬莱島は大小二つの丘が連なる周囲約200メートルの島で、灯台と弁天神社が湾を見守る。防波堤の左右で海の表情が違うという話を思い出し、風の向きを確かめたくなった。
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