LoqiRoam · 旅日記
鉄路の脇で、村の時間を拾う
久谷駅から鉄道遺産、八幡神社、民俗行事、五輪塔、隊道を経て辺地の三柱神社へ進み、集落に重なる時間をたどった。
久谷駅を出て、最初に向かったのは海でも大きな景勝地でもなく、山陰線が山を抜ける場所だった。桃観トンネルとその周辺に残る鉄道の記憶を眺めると、この集落が静かなだけの場所ではなく、雪や勾配と向き合いながら鉄路を受け入れてきた場所だと分かる。そこから八幡神社へ歩き、約400年以上続くとされるざんざか踊りの舞台を見た。祭りの音は聞こえなくても、境内から家々へ広がる行列を想像できる。さらに、菖蒲やよもぎを編んだ綱を公道で引く行事の話に触れ、道そのものが季節の記憶を抱えていることに気づいた。山裾の五輪塔では、伝承と年代のずれを面白く感じた。最後は線路下の小さな隊道を抜け、辺地の三柱神社へ向かった。旅の終わりに残ったのは名所の印象ではなく、鉄路、祭り、供養、道、社が同じ山あいで折り重なっている感覚だった。
この旅の足跡
- 駅を出ると、列車の行き先より先にトンネルの長さを想像した。桃観トンネルは山陰線の難所だった場所で、静かな山肌に鉄道の緊張だけが残っている。
- 八幡神社は、約400年以上続くとされるざんざか踊りの舞台だった。祭りの日でなくても、境内の相撲場と木陰から、村が祈りを共有してきた時間を想像できる。
- 久谷の菖蒲綱引きは、菖蒲やよもぎを編んだ綱を公道で引き合う行事だという。普段は何も起きない道に、季節だけ大きな力が集まることが面白い。
- 山裾に立つ五輪塔は高さ約160センチで、室町時代後期のものと考えられている。伝承と史実が少しずれるところに、土地の記憶が一つに決まらない面白さがあった。
- 久谷周辺の線路下には、道だけでなく水路も通す小さな隊道がある。列車を通すために土地を分け、暮らしのためにまたつなぐ構造が静かに残っていた。
- 辺地の三柱神社は、素戔嗚尊を主祭神とし、旧称から明治初年に名を改めている。新旧の時間が重なる社で、山あいの集落の終わりを静かに感じた。