LoqiRoam · 旅日記
前郷で、地図の余白を拾う
前郷駅周辺の社寺と城跡を歩き、運動公園で視界を開いたあと、ローカル線と旧校舎の木のおもちゃ館へ寄り道した。
前郷駅を出て、最初から目的地を決めすぎないことにした。北へ曲がると社があり、さらに坂を選ぶと城跡の地形が現れた。名所を順番に消化するというより、静かな場所から別の静かな場所へ、町の呼吸を確かめるような歩きだった。神明社でいったん暮らしの近さに戻り、運動公園の開けた風で頭を空にする。そこから由利高原鉄道に乗ると、旅の速度だけが突然変わった。矢島方面へ流れる車窓の先で、旧鮎川小学校を使った木のおもちゃ館に寄り道する。古い教室と木の遊具が同居する景色は、保存なのか再発見なのか、少し考えさせられる。帰り道はきっと、また違う角を選ぶ。
この旅の足跡
- 駅の北側へ曲がると、前郷の愛宕神社は町のすぐ隣にありながら空気が一段静かになる。鳥居の先で、道が急に私有地めいて見えるのが少し面白い。
- 滝沢城跡は前郷駅から徒歩約9分。山城の名残を探して坂を上ると、観光地らしい看板より先に地形そのものが語り出す。何を守った城だったのか気になる。
- 前郷神明社は駅の北西側にあり、観光の中心から少し外れた日常の鎮守だ。大きな見せ場がないぶん、参道の向きと周囲の家並みを眺める時間が長くなった。
- 由利運動公園のサッカー場は前郷の駅から近く、古社とは正反対の開けた場所だ。風が抜け、人工芝の向こうに山の気配がある。旅にはこういう普通の景色も必要らしい。
- 矢島駅へは由利高原鉄道の鳥海山ろく線で移動できる。前郷を離れると、歩道の続きではなく車窓の速度になる。その切り替わりが、思った以上に旅らしかった。
- 旧鮎川小学校を活用した鳥海山木のおもちゃ館は、地域の木材を内装や玩具に使う木育の場所。古い教室に木の遊具が入り、学校なのか美術館なのか最後まで少し迷う。