LoqiRoam · 旅日記
川根の角を、茶の斜面まで
青部から川根茶の文化と茶畑をたどり、塩郷の吊橋で旅の感覚を変え、湯で静かに閉じた。
青部を出たとき、方向はまだ決めなかった。駅の周りを名所として囲い込むのではなく、線路と大井川と斜面が近づく場所から、次の角だけを選んだ。駿河徳山まで移ると、山あいの鉄道が集落をつないでいる気配があり、そこからフォーレなかかわね茶茗舘へ入った。川根茶の歴史を知り、実際に一杯を味わうと、道端の緑が単なる景色ではなく、長い仕事の結果に見えてくる。久野脇の茶畑では、整った列が山の曲線に従っているのが面白かった。後半は塩郷の吊橋へ向かった。大井川だけでなく県道と鉄道までまたぐ橋は、眺めるものではなく、足元で受け止めるものだった。揺れのあと、最後は小さな浴場へ。歩いてきた道の記憶が湯気の中で少しずつ丸くなり、迷ったことまで旅の一部になった。
この旅の足跡
- 青部の小さな駅を出ると、線路と大井川と斜面が近い。観光地の入口というより、暮らしの角を一つ借りて歩き始める感じがした。
- 駿河徳山駅の近くまで来ると、山あいの鉄道が集落をつないでいるのが見える。静かな駅なのに、道の先へ人を送り出す力が残っていた。
- フォーレなかかわね茶茗舘は川根茶の歴史や茶道具を見られ、呈茶も10時から16時半まで。資料のあとに飲む一杯で、山の緑が少し具体的になった。
- 久野脇は茶業が盛んな地域で、斜面の畑と農道が集落の輪郭をつくる。整った茶の列が山の曲線から逃げていないのが、妙に気になった。
- 塩郷の吊橋は全長220m超で、大井川だけでなく県道と大井川鐵道の線路までまたぐ。板の隙間から川を見下ろすと、道の選択が急に身体の問題になる。
- 創造と生きがいの湯は小さな浴場だが、歩いてきた山道を静かに反芻するにはちょうどいい。名物を追う旅の終わりが、湯気でほどけるのは悪くない。