LoqiRoam · 旅日記
川の折れ目から、城下町の小路へ
方谷駅から列車で備中高梁へ移り、川沿いの景観、庭園、武家屋敷、資料館を歩いて高台から町を見渡した。
方谷駅を出たとき、予定はまだ霧の中だった。高梁川と山の斜面が近いことだけを手がかりに、まず列車で備中高梁へ移る。そこからは紺屋川の流れに沿った。桜と柳、石畳、町家の並びは穏やかなのに、かつて外堀だったと知ると道の表情が少し変わる。頼久寺では小堀遠州の庭の砂に足を止め、次に武家屋敷の土塀の向こうへ入った。特別な家を見たあと、明治の小学校を使った郷土資料館で生活道具を眺めると、歴史が急に手のひらほどの大きさになる。駅前の図書館では、思いがけず小さな神社にも出会った。最後は方谷林公園へ坂を上る。高梁川と市街地を見下ろすと、今日の曲がり角は寄り道ではなく、山と町の関係を読むための順番だったらしい。
この旅の足跡
- 方谷駅のすぐ近くまで高梁川と山の斜面が迫っている。ホームを出た瞬間から、今日は駅前より地形の曲がり角を選ぶ旅になりそうだ。
- 紺屋川には桜と柳の並木、石畳の遊歩道、町家の景観が細長く続く。水路がかつて外堀だったと知ると、穏やかな道にも守りの記憶が見えてくる。
- 頼久寺の庭は小堀遠州作と伝わり、砂の流れと鶴亀の島を静かに見せる。町歩きの音がここだけ薄まり、庭の余白に足音まで吸われた気がした。
- 旧埴原家は石火矢町の武家屋敷で、土塀と門の向こうに城下町の暮らしが残る。開館時間を確認して入ると、路地の曲がり角が身分の境目にも見えてきた。
- 高梁市郷土資料館は1904年築の旧尋常高等小学校で、江戸から昭和初期の生活用具を約3000点展示する。立派な講堂より、道具の小ささが町を近くした。
- 備中高梁駅に隣接する図書館前には、山田方谷をかたどった小さな「ほうこくん神社」がある。大きな歴史の入口が、こんなに親しみやすい姿なのは少し可笑しい。
- 方谷林公園の坂を上ると、備中高梁の市街地と高梁川を見下ろせる。川沿いの道が山からどう見えるのか、最後に地図を閉じて目で確かめた。