LoqiRoam · 旅日記

音量の違う横浜を歩く

商店街の生活音から大岡川、山手の静けさ、中華街の喧騒を経て、赤レンガ倉庫で港の風にほどけた。

吉野町を出たとき、目的地はまだ決まっていなかった。まず横浜橋通商店街へ入り、惣菜を選ぶ声や食材店の呼びかけに身を預けた。そこから大岡川へ向かうと、道の密度がほどけ、水の細い連続音が車の音の下から浮かんできた。蒔田公園では川が二つに分かれる場所に立ち、街の流れにも分岐点があるのだと思った。坂を上った先の大佛次郎記念館と港の見える丘公園では、展示と庭の静けさが耳の奥を冷ましてくれた。けれど中華街に入ると、呼び込み、調理音、食器の触れる音が一斉に近づく。最後は赤レンガ倉庫まで歩き、広い床に返る足音と海風を聞いた。名所を集めたというより、暮らし、川、記憶、食、港の順に横浜の音量をたどった一日だった。

この旅の足跡

  1. 横浜橋通商店街では、惣菜を選ぶ声と店先の包丁の音が道にこぼれている。老舗と韓国・ベトナム・中国の食材店が並ぶのが面白い。
  2. 大岡川沿い約5kmに約700本の桜並木が続く。花の季節でなくても、水面と車音のあいだに細い流れの音があり、街の歩幅が少し遅くなる。
  3. 蒔田公園は大岡川と中村川の分岐点にあり、親水施設も整えられている。水の行き先が二つに分かれる場所で、音まで分岐する気がした。
  4. 大佛次郎記念館のある港の見える丘公園一帯には、旧外国人居留地の文化施設が続く。展示を見る人の声が、坂の静けさに吸い込まれていった。
  5. 港の見える丘公園は24時間開園で、展望台から港とベイブリッジを望める。約330種のバラがある庭では、風の音が景色を遠くまで運んでいた。
  6. 横浜大世界は中華街の天長門正面にあり、10時から21時まで営業している。呼び込み、調理音、食器の触れる音が一度に近づき、街の音量が急に変わった。
  7. 赤レンガ倉庫は1号館が10時から19時、2号館が11時から20時。広い床に足音が返り、海側では風が音をさらう。古い荷の場所が散歩の舞台になっていた。
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