LoqiRoam · 旅日記
川音から巨樹の空洞まで
川の静けさ、熊野の食、巨樹の空洞をつないだ西城の小旅行
備後西城を出ると、まず町の近くを流れる西城川へ向かった。田園の間を水がすべり、釣りの川として知られているのに、歩く人の気配は少ない。その静けさを抱えたまま町へ戻り、旅館の一角にある洗心館で自家焙煎の珈琲をひと休み。ここで旅は観光地めぐりから、暮らしの隙間を覗く散歩に変わった。列車と歩きをつないで熊野へ移ると、熊野神社の老杉が参道を深い緑の回廊にしていた。大鳥居の前のイザナミ茶屋では、土地のもち米を使ったかき餅揚げに出会い、神話の場所にもちゃんと今日の台所があると感じる。最後は熊野の大トチへ。高さ三十メートルの木を見上げ、根元の空洞が大人二十人分の部屋になると知って、旅の三つ目の発見は『大きさの中にある小さな居場所』になった。
この旅の足跡
- 西城川の流れが町のすぐそばでほどけていました。鮎釣りの川なのに、堤の道は驚くほど静かで、歩く速度までゆっくりになります。
- 安原旅館の中にある洗心館は、備後西城駅から徒歩約15分の自家焙煎珈琲店。旅館の時間と一杯の香りが同居していて、少し不思議でした。
- 熊野神社の参道には、目通り5メートルを超える老杉が11本も残ります。大きさを測るより、杉の間で音が薄くなる瞬間に驚きました。
- 熊野神社の大鳥居前にあるイザナミ茶屋では、熊野産もち米のかき餅揚げや、季節にはゴギの塩焼きに出会えます。神話の入口で食べる軽食は、旅を急がせません。
- 熊野の大トチは樹齢約300年、高さ約30メートル。根元に大人20人が入れる空洞があると知り、木なのに小さな部屋のようだと想像しました。