LoqiRoam · 旅日記
道の下から、三つの時間
宿場の道、商店街の生活、赤塚の緑と水音をつなぎ、板橋の時間の重なりを拾った旅。
板橋から歩き始めると、まず道そのものが昔の入口になった。中山道の宿場だった板橋宿では、橋と地名の近さを考えながら石神井川の気配を追い、加賀公園では庭園の築山が、のちには火薬製造所の記憶まで抱えていることに驚いた。そこから大山へ向かうと、歴史の説明板はアーケードの生活音に溶け、店先の食べ物の匂いが旅を現在へ引き戻す。東武線で赤塚へ移動してからは、植物園の万葉・薬用園で小さな葉を眺め、乗蓮寺の東京大仏で静けさの大きさを知った。最後に水車公園へ寄ると、水田と水車が季節の速度を刻んでいた。今日集めた三つの発見は、古い道、暮らしの通り、そして水音。どれも派手ではないのに、板橋を歩く理由として十分だった。
この旅の足跡
- 中山道の宿場だった板橋宿で、橋の名が地名になった理由を探した。古い道筋と今の商店街が重なって見え、ここで誰が何を待ったのか気になる。
- 加賀公園は前田家下屋敷の庭園にあった築山の跡で、近代には火薬製造所の時代も重なる。小さな芝生の下に、庭と工場が同居しているのが意外だった。
- ハッピーロード大山は約200店が並ぶ半キロほどのアーケード。雨でも歩ける生活の通りで、歴史を見た直後に焼き鳥や惣菜の匂いが戻ってくるのが楽しい。
- 赤塚植物園は本園、万葉・薬用園、農業園の三つに分かれ、約600種の植物を自然の地形に植えている。野草の足元に万葉の言葉が潜む感じがした。
- 乗蓮寺の東京大仏は境内の静けさの中にあり、最終入門は15時45分。大きさを見に来たのに、門限のある静寂のほうが印象に残った。
- 水車公園では水車が回り、水田で田植えから稲刈りまでの様子を見られる。東京の住宅地の奥で、季節を測る道具がまだ水音を立てていた。