LoqiRoam · 旅日記
音の少ない高原をめぐる
松原湖から美術館、温泉、山の湯、白駒の池を経て、野辺山の線路へ。水辺から森、そして空へと静けさの形が変わる旅。
小海を出ると、まず松原湖の水面に立ち寄った。湖畔の遊歩道を歩いていると、観光地らしい見どころより、木々の間に残る鐘の由来や、風が水面を変える小さな動きのほうが気になった。高台の小海町高原美術館では、安藤忠雄の建物が景色を切り取るのではなく、外の光を静かに受け入れているように見えた。八峰の湯で温まり、町の暮らしに一度戻ってから、バスで稲子湯へ向かった。山小屋のような佇まいの前では、登山者が次の一歩を考える時間まで風景の一部になっていた。白駒の池では原生林の中を歩き、池そのものより、足元の木道と遠い水音の組み合わせを覚えている。最後は野辺山へ出て、最高地点の線路を眺めた。列車が去った後に残ったのは、広い空と、まだ耳の奥に続く森の静けさだった。
この旅の足跡
- 松原湖は猪名湖や長湖などからなる湖で、湖畔の遊歩道と松原諏方神社の野ざらしの鐘が静かな時間をつくる。水面より鐘の由来が気になった。
- 安藤忠雄設計の小海町高原美術館は、展示室だけでなく周囲の高原や光まで含めて体験する場所だった。直線的な建物なのに、外の静けさが入り込んでくる。
- 八峰の湯は10時から21時まで営業する松原湖温泉で、浴室から八ヶ岳を望める。山を眺めながら湯に入ると、旅が急に生活の側へ戻ってきた。
- 標高約1500mの稲子湯は、八ヶ岳登山の基地でもある山小屋のような宿。観光施設よりも、湯気の向こうに登山者の準備時間が見えることに惹かれた。
- 白駒の池へは駐車場から約600m、徒歩15分ほどの山道を入る。コメツガやシラビソに囲まれた池は、景色を見るというより森の音の奥行きを測る場所だった。
- 野辺山駅は標高1345.67mでJR線最高所の駅。駅間の最高地点には標高1375mの標柱もある。列車が去った後、空の広さだけが残るのが印象的だった。