LoqiRoam · 旅日記

川音から山の静けさへ

古墳、町並み、美術、川辺、山の食、古民家を音の変化でつないだ小さな旅。

出発してすぐ、丘の上の古墳に立った。近くに駅や道があるはずなのに、聞こえてくるのは風が草を撫でる音ばかりで、旅の速度が自然に落ちた。そこから袖うだつの町並みへ歩くと、軒の連なりが街道の記憶を静かに残している。美術館では土地の風景が絵の中へ移り、外の音まで柔らかくなった。川辺では、灯ろうと花火で賑わう夏の夜を想像しながら、水面の小さな揺れを眺めた。午後は登美志山へ上がり、山の芋を使った食事と広い風に包まれる。最後に奥家住宅の茅葺き屋根を見て、遠い雨音のようなものを胸に残した。名所を急いで集めるより、音の濃淡が変わるたびに立ち止まれたことが、この日のいちばん確かな発見だった。

この旅の足跡

  1. 丘の頂にある三玉大塚古墳は、全長41メートルの帆立貝式。駅から近いのに、風だけが古代の輪郭をなぞっていた。
  2. 袖うだつのある町並みを歩くと、国道の車音が一本裏で遠のく。宿場の名残は、派手さより軒下の間合いにあった。
  3. あーとあい・きさでは奥田元宋の展示室と県内画家の作品を見られる。外の町音が、絵の中で一度ゆっくりになる。
  4. 馬洗川親水公園は、夏なら灯ろうが川面を埋める場所。今日は花火のない水面を見て、祭りの音だけを想像した。
  5. 登美志山の中腹、とみしの里では山の芋を使う定食やうどんが味わえる。高みに来ると、風の音が昼食の一部になる。
  6. 奥家住宅は1788年の主屋と1812年の土蔵が残る重要文化財。茅葺きの屋根を見ていると、旅の終わりに昔の雨音が戻ってくる。
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