LoqiRoam · 旅日記

使われなかった線路から、町の味まで

油須原から赤村と田川を鉄道でつなぎ、駅舎、幻の鉄路、温泉、炭鉱資料、美術、商店街の味を巡った。

油須原駅の木造駅舎を出発すると、旅はまず古い建具と鳥居型の駅名標から始まった。赤駅では、完成したのに本線として使われなかった油須原線をトロッコが走っている。役目を失った鉄路が、いまは地域の記憶を運ぶという逆転が面白い。源じいの森駅では竹林に囲まれた温泉へ寄り道し、鉄道と炭鉱の話で少し固くなった頭をゆるめた。田川へ移ると、石炭・歴史博物館の煙突や竪坑櫓、記録画、復元住宅が、産業の歴史を人の暮らしの大きさまで引き寄せてくれた。美術館では同じ土地の記憶が色や形に変わる様子を眺め、最後は後藤寺商店街の若とりへ。静かな駅、幻の線路、竹林、炭鉱、作品、から揚げ。三つの発見を集めるつもりが、町の時間を六つの表情で受け取った。

この旅の足跡

  1. 油須原駅は、木製の建具とレトロ調の灯具を取り戻した木造駅舎だった。鳥居型の駅名標まであり、列車を待つ数分が小さな時間旅行に変わった。
  2. 赤駅前から走るトロッコは、完成したのに一度も本線として使われなかった油須原線をたどる。使われなかった鉄路が、いまは村の記憶を運ぶ線路になっているのが不思議だ。
  3. 源じいの森駅から徒歩1分の温泉は、亀を思わせる建物と周囲の竹林が印象的だった。鉄道遺産の緊張感を抜いて、土地の自然に体ごと戻れる休憩所だ。
  4. 石炭・歴史博物館では、炭鉱資料だけでなく、山本作兵衛の記録画や復元炭坑住宅、二本煙突と竪坑櫓まで一続きに見える。産業史が生活の寸法で迫ってきた。
  5. 田川市美術館は地域ゆかりの作家を中心に約2500点を収蔵し、常設展示も入れ替わる。炭鉱の大きな物語を見たあと、土地の感性が別の形で残ることに気づいた。
  6. 後藤寺商店街の若とりは創業51年、から揚げやとりめしを昼と夜に出している。展示室の静けさから商店街の匂いへ移ると、町の現在が急に近くなった。
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