LoqiRoam · 旅日記
曲がり角は、渓谷へ
柴宿から東山和紙、猊鼻渓、石と賢治のミュージアムへ。手仕事から川、石へと旅の温度が変わった。
柴宿を出て、最初から目的地を決めすぎないことにした。線路の気配が残る道を選び、猊鼻渓駅の近くまで進むと、観光の入口に東山和紙の紙すき館があった。800年続く手仕事を先に見たせいか、その後の渓谷はただの絶景ではなく、土地の暮らしの奥に開いた裂け目のように感じられた。紙すき館の近くで食事を挟み、猊鼻渓では舟に乗る。鏡明岩や毘沙門窟の名前を聞きながら、川霧が岩を隠したり現したりするのを眺めていると、道を選ぶ旅がいつの間にか流れを選ぶ旅へ変わっていた。帰りは来た道をそのまま戻らず、大船渡線で陸中松川へ。石と賢治のミュージアムでは、宮沢賢治が石灰工場の技師だったという地面のある経歴に出会った。名所を集めたというより、紙、川、石の順に景色の見え方が変わった一日だった。
この旅の足跡
- 800年続く東山和紙を展示販売し、15〜30分の紙すき体験もできる。紙より先に、町の時間が薄く重なって見えた。
- 猊鼻渓駅から歩ける東山の小さな食事処。舟に乗る前の胃袋を整える場所を入れると、渓谷の迫力が少し長持ちしそうだ。
- 舟下りは往復約90分。鏡のような岩、鍾乳洞の毘沙門窟、川霧で雲のように見える岩まで、舟の上で景色の名前が増えていく。
- 猊鼻渓は砂鉄川が石灰岩を削った約2kmの渓谷で、100m超の断崖が立つ。壮大なのに、舟が進む音は妙に小さい。
- 石と賢治のミュージアムは陸中松川駅の近く。宮沢賢治が石灰の砕石工場で技師をした足跡を知ると、文学が急に地面側へ降りてくる。
- 猊鼻渓駅周辺には県道19号から船着場へ入る小さな道があり、駅から紙すき館までは徒歩圏。大通りより、看板の向きが気になる。