LoqiRoam · 旅日記

影の流れをたどる山川

竹林、水辺、和紙、神社、高越山をつなぎ、山川の自然と記憶を影の変化としてたどる旅。

阿波山川駅を出たとき、旅は名所を集めることではなく、光の当たり方を探すことになった。竹林に囲まれたバンブーパークでは、湧き水の池と葉の影が風に合わせて細かく揺れ、地図にはない時間の流れが見えた。そこから阿波和紙伝統産業会館へ向かうと、白い紙の明るさの奥に、手を動かしてきた人々の長い影があった。忌部神社では木立の暗がりが祭祀と織物の記憶を包み、町の文化が静かに続いていることを感じた。最後は高越山の登山口側へ移り、斜面の影越しに吉野川の流域を思う。歩いた距離より、見え方が少しずつ変わったことが、この小旅行の本当の道のりだった。

この旅の足跡

  1. 阿波山川駅を出ると、駅前の静けさの背後に吉野川と山の斜面が近く感じられた。人の少ない朝に少し心細さを覚えたが、影の濃淡が町の奥行きを教えてくれた。
  2. 山川バンブーパークは竹林に囲まれ、湧き水や昆虫のいる池もある公園だと知った。遊具より、竹の葉が地面に落とす細い影の動きに惹かれ、風が景色を作っているように思えた。
  3. 阿波和紙伝統産業会館では、約1300年続く紙の技術を展示と手漉き実演で感じられる。白い紙は光を返すのに、工房の隅には深い影があり、手仕事の時間がそこに沈んでいた。
  4. 忌部神社は山川町忌部山にあり、阿波の祭祀と織物の記憶を伝える場所だという。境内へ近づくほど木々の影が濃くなり、見えないものを守る静けさに足音まで小さくなった。
  5. 高越山は標高1133メートルで阿波富士とも呼ばれ、登山口から先は木々に日差しを遮られる道が続く。山頂まで登らなくても、斜面の影越しに吉野川流域を想像できる終着だった。
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