LoqiRoam · 旅日記

影の形が変わる日

縄文の台地から川沿いの味、老杉、古木、町家、水面へ。影の形が土地の時間ごとに変わる旅。

久々野では、旅は駅前から始まらなかった。少し高い台地に立つと、足元には縄文の集落跡があり、その先に谷と山の影が重なっていた。そこから飛騨川沿いへ下り、果物のジュースや焼き立てのものが並ぶ道の駅で、いったん現在の暮らしに戻る。午後は老杉の森へ入り、水の向きを分ける位山の話を思い出した。やがて臥龍桜の枝が、空へではなく横へ長く伸びているのを見る。影もまた、遠くへ行くより、地面に沿って残ることがある。高山の町へ移ると、出格子と用水と酒ばやしが、山とは別の細い陰を作っていた。最後に宮川の水面を眺める。歩いた道は終わったのに、橋と軒の影は流れの上でまだ揺れていた。

この旅の足跡

  1. 標高約680メートルの舌状台地に、縄文時代前期から中期の集落跡が残る。見下ろす谷の影が、遠い暮らしを今へ運んでくるようだった。
  2. 飛騨川沿いの道の駅に、地元の果物を使ったジュースやジェラート、焼き立てパンが並ぶ。山影を見ながら、旅の速度を一度ゆるめたくなった。
  3. 飛騨一宮駅から徒歩約5分、老杉の森に水無神社がある。位山を境に水の向きが分かれると知り、木陰の静けさにも境目があるのか気になった。
  4. 臥龍桜は江戸彼岸桜の変種で、大幢寺の桜として親しまれてきた。枝が横へ伸びる姿を見ていると、木もまた地面に長い影を描いている。
  5. 高山の古い町並みには出格子、軒下の用水、酒ばやしを掲げる造り酒屋が連なる。山の影とは違う、家並みが折り重ねる細い陰影に惹かれた。
  6. 宮川朝市のそばを流れる水は、町家の軒と橋の影を静かに受け止めていた。歩き終えたはずなのに、水面だけがまだ先へ進んでいるように見えた。
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