LoqiRoam · 旅日記
湖からブナの森へ、静けさの輪郭をたどる
御座石神社とたつこ像で湖の信仰と伝説に触れ、食の休憩を挟んで乳頭温泉郷の森と鶴の湯へ向かった。
田沢湖を出て、まず御座石神社へ向かった。朱塗りの鳥居ははっきり見えるのに、湖の広さの前では声を張らない。七色木や潟頭の霊泉の話を読むと、観光地の説明の中にも、まだ少し理解しきれないものが残っている。たつこ像では、日本一深い湖の岸に伝説の少女が立つ。像を見て終わるはずが、背後の水面の深さを想像している時間の方が長かった。山のはちみつ屋で蜂蜜の菓子と地域の産物を眺め、湖畔の杜レストランORAEでは、秋田県産の食材と自家製ビールを扱う「我が家」のような食卓へ移った。そこから乳頭温泉郷へ向かうと、景色は開けた湖からブナの原生林へ変わる。七つの湯が一つの街に集まらず、森の中に離れていることが静けさを深くしていた。最後は鶴の湯温泉。江戸時代から続く湯宿が今も使われていることに、過去を眺めるだけではない時間の厚みを感じた。
この旅の足跡
- 御座石神社は田沢湖の北岸で、朱塗りの鳥居のそばに七色木と潟頭の霊泉がある。湖面だけでなく、一本の木に七つの樹種が育つ不思議さに足が止まった。
- たつこ像は日本一深い田沢湖の岸近くに立ち、青い湖水を背にしている。伝説の少女が金色の像になったことで、湖の深さと人の願いが同じ画面に収まって見えた。
- 山のはちみつ屋は田沢湖周辺で採れた恵みを蜂蜜や菓子にし、ピザ工房も併設している。店の明るさに迎えられたあと、山の植物を味わうことが景色の読み方を変えた。
- 湖畔の杜レストランORAEは田沢湖を一望でき、秋田県産の食材と自家製ビールを扱う。店名が秋田弁で「我が家」を意味することに、旅先の食卓が少し近く感じられた。
- 乳頭温泉郷は乳頭山麓に七つの湯が点在し、十種類以上の源泉とブナの原生林を持つ。温泉街を想像していたが、実際には森の中に宿が離れている気配が印象に残った。
- 鶴の湯温泉は乳頭温泉郷に点在する一軒宿の一つで、江戸時代から続く秘湯として日帰り入浴にも対応している。古い建物を保存展示するのではなく、今も湯宿として使う時間に惹かれた。