LoqiRoam · 旅日記

山あいの標識を追って、川井へ

平津戸から区界高原、川井の道の駅と民俗資料館を経て、駅と閉伊川へ。道路の看板を手がかりに、山の景色と暮らしの歴史をつないだ散歩。

平津戸を出ると、観光地らしい大きな入口より先に、国道の案内と山の曲がり角が目に入った。そこで今日は駅を目的地にせず、道が峠へ上がり、また川沿いへ下りていく流れを追うことにした。区界高原では兜明神岳を背にした道の駅で立ち止まり、登山と休憩を同じ看板が案内していることに気づく。やまびこ館ではドラゴン麺という名前に惹かれ、山道の途中にも土地の言葉があるのだと楽しくなった。川井では北上山地民俗資料館を訪ね、山仕事の道具を見たあと、陸中川井駅まで歩いた。道具の重さと駅名の小ささが、旅を観光ではなく暮らしの続きに変えてくれた。最後は閉伊川のそばで、朝から読んできた地名を水の流れに重ねた。標識を追う散歩は、知らない場所を増やすより、通り過ぎた景色に意味を足していく旅だった。

この旅の足跡

  1. 国道を少し外れると、平津戸の山道は看板さえ控えめで、次の曲がり角が小さな謎になる。線路と道路がどこで離れるのか、歩いて確かめたくなった。
  2. 標高700メートルの区界高原では、道の駅の背後に兜明神岳が現れる。休憩所の実用的な看板と、登山口へ誘う山の形が同じ視界にあるのが面白い。
  3. やまびこ館は宮古と盛岡の中ほどにあり、産直やレストラン、パン工房まで揃う。人気のドラゴン麺という名前を見て、山道の途中で急に物語が太くなった気がした。
  4. 北上山地民俗資料館には、山仕事や山村生活の道具が集まり、1345点が重要有形民俗文化財になっている。無骨な道具を前にすると、さっき通った道にも暮らしの厚みが見えてくる。
  5. 陸中川井駅は資料館から歩ける距離にあり、山田線の小さな駅として町の移動を静かに受け止めている。駅名の看板を見て、旅の尺度が急に人の歩幅へ戻った。
  6. 閉伊川の流れを近くで眺めると、山の中を通ってきた一日が水の方向にほどけていく。案内板の地名を読み返しながら、出発地から続く谷の長さに少し驚いた。
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