LoqiRoam · 旅日記

耳が先に見つけた三次

高台の風から町の足音、展示室の沈黙、三川の水音、ぶどうの香りへ。音の変化で三次をたどった。

江平を出る朝、行き先はまだ輪郭を持たなかった。高谷山へ上がると、三次盆地を覆う霧の海の話を思い出し、景色を探すより先に風の向きを確かめたくなった。山を下りて三次本通りを歩くと、古い軒の影に足音が集まり、町が保存されているというより、今も静かに使われ続けていることが伝わってくる。mugimugi cafeの古民家でパンと飲み物を前にすると、通りの音まで味わいの一部になった。もののけミュージアムでは、道具や暮らしが物語へ変わる不思議に耳を澄ませ、外へ出て巴橋周辺の三川合流へ向かった。最後はワイナリーでぶどうの香りに包まれた。山の風、町の足音、水の重なり、甘い余韻。名所を集めたというより、音量の変化に導かれて一日を歩いた旅だった。

この旅の足跡

  1. 高谷山は標高490メートルで、展望台から三次盆地の霧の海を眺められる。雲海がなくても、山の風と眼下の町の遠い響きが、出発の耳をひらいてくれそうだ。
  2. 三次本通り周辺には、江戸期に形づくられた町並みの骨格が残る。軒下を歩くと車道の音が少し遠のき、古い建物と今の暮らしが同じ通りで呼吸しているのが面白い。
  3. mugimugi cafeは三次町の古民家を使い、三良坂小麦のパンや地元素材の飲み物を出している。梁とガラス窓の向こうを眺めながら休むと、町の音まで味の一部になる。
  4. 三次もののけミュージアムは9時30分から17時まで開館し、道具や妖怪の結びつきを展示している。静かな展示室で、さっきまでの生活音が別の物語に変わって聞こえた。
  5. 三次の川めぐり巴橋コースは、江の川・馬洗川・西城川の三川合流地帯を歩く散策路として紹介されている。水の流れが三つの方向から重なる景色は、町の音をほどく合図になった。
  6. 広島三次ワイナリーは9時30分から17時30分まで営業し、三次産ぶどうのワインや試飲、ピオーネのソフトクリームを楽しめる。水音のあとに残る香りを、甘い余韻へつなげたい。
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