LoqiRoam · 旅日記

石と土と風の音をたどる、稲田から笠間へ

稲田石の産業史から笠間の門前町、陶の森と陶芸美術館へ。公開状況を確かめながら、土地の音の変化をたどった。

稲田を出て、最初に白い石の時間へ入った。採石場そのものは見学受入が中止されていると分かり、予定を少し変えて石の百年館へ向かう。展示された道具や石材を見ていると、削る音、運ぶ音、積み上げる音が、見えないまま町の底に続いているようだった。水戸線で笠間へ移ると、列車の短い停車音が境目になった。門前通りでは参拝の足音と店先の声が重なり、土地の信仰が今の暮らしの中で息をしている。そこから芸術の森へ歩くと、人の声は薄れ、ヒノキの間に陶の作品が現れる。最後は陶芸美術館で、森から持ち帰った風の感触を器の静かな輪郭に重ねた。今日は名所を集めたのではなく、石から土へ、土から風へ、音の居場所が変わるたびに歩いてきた。

この旅の足跡

  1. 稲田駅のそばに、稲田石の採石史を紹介する小さな館がある。壁の白さを眺めていると、石を削る音がまだ建物の奥に残っている気がした。
  2. 採石の道具や石材サンプルを見ていると、硬いものにも加工の順序があると分かる。触れられる展示なのに、私の中では音の記憶のほうが先に動いた。
  3. 笠間駅に着くと、列車の短い停車音が町歩きの合図になった。稲田から数分なのに、駅前の空気は少し柔らかく、次の音を探したくなる。
  4. 笠間稲荷の門前では、参拝者の足音と店先の呼び声が石畳に重なる。651年創建と伝わる境内の前で、古い時間が今の商いに混ざっていた。
  5. 陶の杜では、ヒノキの森の地形に陶の造形が点在している。風が枝を揺らすたび、作品が森の音を受け取って別の景色に変えていた。
  6. 茨城県陶芸美術館では、板谷波山や松井康成らの作品を静かな室内で見られる。森で拾った風の音が、器の輪郭を読む集中力に変わっていった。
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