LoqiRoam · 旅日記

光の縁を歩く

芸備線で出発地から三次へ移り、食、建築、町並み、妖怪文化、展望を光の変化でつないだ散歩。

備後三日市を出たとき、線路脇の景色はまだ薄い色をしていた。芸備線で三次へ移り、まずワイナリーのぶどうと建物の白さに触れた。そこから地元の米や野菜を使うカフェへ寄ると、旅は観光地ではなく、誰かの昼食の時間に近づいた。旧三次銀行の資料館では、窓口の名残を残す建物に午後の光が斜めに入り、町が商いの積み重ねでできていることを感じた。石畳通りの古民家カフェでは、パンの香りよりガラスの反射を長く眺めた。もののけミュージアムで影に名前を与える文化を見たあと、尾関山へ上る。坂の木漏れ日が細くなり、頂上で空と市街がひらいた。遠くへ行ったというより、同じ町の明るさを何度も別の角度から見つけた一日だった。

この旅の足跡

  1. ぶどうの気配が建物の中まで届く。三次ワイナリーは工場見学、ショップ、カフェが一つの敷地にあり、試飲より先に窓辺の明るさへ目が向いた。
  2. 三次産の米や野菜を使うカフェ。生パスタの湯気の向こうで、外の光が少しやわらいだ。知らない町で、食べものが地図になる瞬間だった。
  3. 旧三次銀行の建物を使う資料館。昭和初期の鉄筋コンクリートに、窓口の名残と午後の光が同居していた。銀行が記憶の器になるのが面白い。
  4. 赤いのれんの古民家カフェ。木の柱、梁、ガラス窓がみよし本通りを切り取る。パンの香りに誘われたのに、いちばん長く見ていたのは窓の反射だった。
  5. 三次もののけミュージアムでは、江戸から現代までの妖怪文化を扱う。展示室を出ると、さっきまで普通だった影が少しだけ物語に見えた。
  6. 尾関山公園の山頂から三次市街を一望できる。坂道の途中では木漏れ日が細くなり、頂上で空が急に広がった。浅野長治が天体を見た場所とも伝わる。
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