LoqiRoam · 旅日記

水の町から、山裾の曲がり角へ

湧水の宿場から庭園と山麓の暮らしを経て、小さな湿原へ向かった。

出発してすぐ、道をまっすぐ選ぶのが少し惜しくなった。米原の青岸寺では、石の多い庭と苔の水に足を止める。そこから醒井へ移ると、地蔵川は宿場の家々のすぐ脇を流れ、梅花藻の白さと古い建物が同じ画面に収まった。水の冷たさを追っているうちに、道は自然に中山道の細い表情へ変わっていく。次の曲がり角では、急にローザンベリー多和田の庭と羊が現れた。旅は一つの色で続かないらしい。花の明るさを見たあと、伊吹山文化資料館で山麓の道具や暮らしの記憶に戻り、最後は山室湿原の木道へ向かった。派手な終着ではないけれど、湿原の小さな気配を見落とさないために歩幅が遅くなる。今日は名所を集めたというより、水、街道、庭、道具、湿地の順に、曲がるたび土地の声色を変えてみた。

この旅の足跡

  1. 青岸寺の庭は、石を多く組み、苔で水を表す枯山水だった。雨の庭として評価された理由が、写真より歩いた方がよくわかる気がした。
  2. 醒井の地蔵川は年間約14度の湧水が流れ、梅花藻とハリヨが暮らす。真夏なのに水だけ季節を一歩戻していて、角を曲がるたび温度が違う。
  3. 醒井宿は中山道61番目の宿場で、地蔵川沿いに旧問屋場や旧郵便局が残る。生活の水路と街道が近すぎて、曲がり角が昔の入口に見えた。
  4. ローザンベリー多和田は英国式庭園に加え、羊のふれあい牧場やカフェ、体験工房まで抱える。清流の旅から急に花と羊へ曲がる感じが、少し可笑しくていい。
  5. 伊吹山文化資料館には、山の自然・歴史・民俗と、山麓の生活道具や生産用具が展示される。庭の華やかさの後で、土地を使い続けた手の記憶に戻れた。
  6. 山室湿原は横山丘陵の山裾に残る小さな湿原で、木道が整備され、サギソウやハッチョウトンボでも知られる。終点にしては繊細すぎる景色が、むしろ旅らしい。
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