LoqiRoam · 旅日記

須磨で、海を見てから山へ曲がる

海辺の再生、公園、寺町、松林、旧離宮、市場をつなぎ、須磨の表情を歩幅ごとに切り替えた。

貨物ターミナルを出ると、最初に選んだのは観光名所らしい正面玄関ではなく、線路の硬さが海の明るさへほどける南向きの道だった。須磨海浜公園では、かつての水族館の記憶を再利用したBE KOBEの文字を見つけ、続く砂浜では海水浴場の顔の裏に住宅と漁業の暮らしがあることを思い出した。そこから西へ曲がると、須磨寺の境内は源平の史跡や句碑が細い物語のように現れ、さらに須磨浦公園へ抜けると松林の向こうに海が残った。気まぐれに山側へ寄り道した須磨離宮公園では、噴水の軸と旧離宮の石積みが、自然とは別の静けさを作っていた。最後はナナ・ファーム須磨へ戻り、鮮魚や兵庫の農産物を眺めながら、旅の景色を食べられるものへ変えた。大きく移動したようで、選んだのはずっと小さな曲がり角だった。

この旅の足跡

  1. 須磨海浜公園は、古い水族館の記憶を再利用したBE KOBEの文字と、芝生や松林が同居する場所。海へ出る前なのに、もう記憶の波に乗った気がした。
  2. 須磨海岸は約1.8キロの砂浜で、住宅や漁業の場でもある。夏の海水浴場だけと思っていた私は、生活のすぐ隣に広がる幅のある浜に少し驚いた。
  3. 須磨寺には敦盛の首塚や義経腰掛の松、句碑が点在し、古刹なのに境内の細部が妙に人間くさい。歴史を一枚絵でなく、角ごとの小話として拾えそうだ。
  4. 須磨浦公園は松林と斜面、句碑、ハイキング道が海岸まで重なる。ロープウェーの観光地なのに、木陰の道には山歩きの気配が残り、海だけを見に来た自分が少し外れた。
  5. 須磨離宮公園は旧武庫離宮を前身とし、噴水の軸やバラ園、月見台からの大阪湾の眺めがある。花の季節を外しても、残った石積みが過去を黙って示していた。
  6. ナナ・ファーム須磨は兵庫の農産物や鮮魚を集める市場で、2階から明石海峡大橋を望める。旅の最後に土産を探すつもりが、昼網の魚と海の眺めに足が止まった。
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