LoqiRoam · 旅日記
石畳から港町へ、影の長さを追う
相賀から馬越峠と天狗倉山を越え、喫茶と大樟の影へつなぐ山海の小旅行。
相賀を出て、まず道の駅海山で土地の食と古道の案内を確かめた。国道の白い明るさを抜けると、馬越峠の入口から空気が変わる。尾鷲ヒノキの林と、雨から旅人を守ってきた石畳。足元ばかり見ていたはずなのに、木漏れ日の形が一歩ごとに違って見えた。峠から天狗倉山へ寄り道すると、森の細い影は海と町を包む大きな輪郭に変わった。下山後は喫茶セルフでコーヒーを飲み、中庭の気配に歩き終えた身体を預ける。最後に尾鷲神社の大樟の下へ立つ。山の影、店の庇、樹冠の影。どれも光を消すのではなく、光の形を教えてくれていた。
この旅の足跡
- 道の駅海山は、馬越峠の登り口まで徒歩約5分。売店の海の幸と、これから入るヒノキの森の気配が同じ場所にあり、旅の速度を整えた。
- 国道の明るさが途切れた先に、馬越峠の北側登り口が現れる。横断に注意が必要な道から、石畳へ向かう影の入口が思ったより近い。
- 尾鷲ヒノキの林の下に、重い自然石の石畳が約2キロ続く。足元の凹凸に気を取られるほど、木漏れ日の輪郭がゆっくり変わっていった。
- 標高522メートルの天狗倉山では、巨大な岩の上から尾鷲の町と青い湾を見渡せる。登り切った後、影の中にいた目が急に遠くまで開く。
- 尾鷲の老舗喫茶セルフは、挽きたてのコーヒーと中庭の眺めを持つ。味噌かつや自家製シロップの氷もあり、山歩きの緊張が町の甘さにほどけた。
- 尾鷲神社の二本の大樟は枝を重ね、一つの大きな樹冠をつくる。祭りの記憶を抱く社の入口で、最後に見たのは建物よりも深い緑の影だった。