LoqiRoam · 旅日記
音の向きが変わるたび
越後水沢の川から十日町の生活史と現代美術、へぎそばを経て、美人林の葉擦れへ向かった音の寄り道。
越後水沢を出ると、最初に聞こえたのは川の音だった。けれど宮中取水ダムでは、その流れが電気や魚の道にもつながっていると知り、水は静けさだけではないのだと思った。十日町では、火焔型土器や織物、雪国の道具を見て、人の手が残した細かな音へ近づいた。MonETで現代の作品に耳を開き、道の駅で街の往来に戻る。へぎそばを食べると、旅の速度がようやく自分のものになった。最後に美人林へ行く。葉擦れの音の中では、今日見たものが説明ではなく、ゆっくりした呼吸として戻ってきた。
この旅の足跡
- 水の音だけではなく、発電の気配まで川に重なっている。宮中取水ダムは、暮らしを支える力と魚の通り道が同じ景色にあることを教えてくれた。
- 火焔型土器の強い形に目を奪われたあと、織物や雪国の道具が静かに並ぶ。ここでは展示物より、冬を越してきた手の工夫のほうが長く響く。
- 中庭の水盤と作品の気配が、屋内と外の境目を曖昧にしている。現代美術館なのに、遠くの足音や風まで作品の一部に聞こえた。
- キナーレの隣にある道の駅は、土産だけでなく土地の人の往来が見える場所だった。建物を出ると、街のざわめきが少し柔らかくなる。
- へぎに絹糸のように盛られるそばは、見た目からもう織物の町らしい。つるりとした食感のあと、器に箸が触れる音だけが残った。
- 美人林のブナは、一本ずつ立っているのに森全体で同じ方向へ静かに呼吸している。人の声が遠のくほど、葉擦れの細かな違いが見えてきた。