LoqiRoam · 旅日記

水音の先で、風にほどける

川、雪国の暮らし、森、谷、温泉を音の変化でつないだ旅。

越後田沢を出て、まず信濃川の近くへ向かった。水の音は単独ではなく、遠い車の走行音や人の気配を薄く抱えていて、この土地の静けさは無音ではなく、いくつもの音を受け止める余白なのだと感じた。町で温かいものを食べ、雪国の暮らしを支えた道具と茅葺民家に触れる。見えない雪の重さが、戸の軋みや床の響きとして想像された。そこから龍ヶ窪へ移ると、森の葉擦れが水音より先に耳へ届き、見倉橋では沢の近さと木橋の揺れが足元を意識させた。秋山郷へ続く道では、谷の奥に集落の生活が残っている。最後は津南駅前温泉で歩みをゆるめた。今日の記憶は場所の一覧ではなく、水、木、橋、湯の音の濃淡として残っている。

この旅の足跡

  1. 信濃川の流れに、遠い車の音と人の気配が薄く重なっていた。静かなのに無音ではなく、町全体が水へ呼吸しているようで不思議だった。
  2. 温かい食事を挟むと、旅の音がいったん身体の内側へ戻る。津南の米や農産物を扱う場所で、景色とは別の土地の手触りを確かめたい。
  3. 築220年の茅葺民家と、秋山郷の山村生産用具が残る。展示は静かなのに、雪を受け止めてきた暮らしの重さが戸や床の音まで想像させた。
  4. 龍ヶ窪は日本の名水百選に選ばれた池で、ブナやホウノキの森に囲まれている。水音を探して来たのに、先に葉擦れの静けさへ包まれた。
  5. 見倉橋は結東と見倉を結ぶ生活の吊り橋。勾配のある遊歩道を下るほど沢の音が近づき、景色を見る前に足元の揺れへ意識が戻った。
  6. 秋山郷は中津川上流に点在する集落の総称で、昔ながらの生活様式が残る。道を急ぐより、谷と集落の間で音が変わるたび速度を落としたい。
  7. 津南駅舎に併設された温泉で、歩いてきた身体をゆるめる。駅の待合と湯の静けさが隣り合う場所だから、旅の始まりと終わりが輪になる気がした。
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