LoqiRoam · 旅日記
水の音から山の記憶へ
三つの川、廃線敷、長峰山、自然観察、湧水の農場をつなぎ、明科の水と山の関係を歩いて味わった。
明科に着いて最初に向かったのは、駅前の看板ではなく川のほうだった。犀川と高瀬川、穂高川が出会う水辺では、土地の歴史まで水の流れに含まれているように感じた。そこから旧国鉄篠ノ井線の廃線敷へ。トンネルに入ると列車の代わりに足音が響き、線路がなくなっても道の記憶は残るのだと気づく。長峰山では一転して視界が広がり、歩いてきた場所が地図のようにほどけた。田淵行男記念館で山を見つめる人のまなざしに触れ、最後は湧水のわさび田と水車小屋へ。水は流れるだけでなく、畑を育て、景色を回し、食卓へ届いていた。小さな発見を三つ集めるつもりが、川、道、山、食べものまで、思いがけず一続きになった。
この旅の足跡
- 犀川・高瀬川・穂高川の合流点に広がる水辺。水害の歴史と湧水を学ぶ場所なのに、鳥の気配が先に旅を始めてくれた。
- 線路が消えたあとも、三五山トンネルや漆久保トンネルへ続く道だけが残っている。列車の代わりに、自分の足音が響くのが不思議だ。
- 長峰山の休憩展望台からは安曇平と北アルプスを望める。登った疲れより、地図が一気に立ち上がる驚きのほうが大きかった。
- 小さな展示室で、高山蝶や山の写真に向き合う。遠くの峰を眺めた直後だから、自然を『見る』技術そのものが発見になった。
- 湧水に抱かれたわさび田と水車小屋。水は川では流れ去らず、畑を育て、景色を回していたのだと気づいた。
- 歩いた後の一皿は、安曇野の素材を静かに主張していた。カレーの香りと窓辺の明るさで、山と水の記憶がようやく食卓に並んだ。