LoqiRoam · 旅日記

谷の影がほどける、水窪の小旅行

水窪の町、民俗、山城、古道、神社をつなぎ、谷に落ちる影の変化をたどった。

水窪駅に降りたとき、旅はまだ細い線だった。水窪川沿いの町を歩くと、斜面の家々に落ちる影が、山の深さを静かに教えてくれた。水窪民俗資料館では、塩の道の宿場文化や西浦田楽、藤布織機などを眺めた。明るく説明される歴史のそばで、使い込まれた道具の輪郭だけが深く沈んでいた。その後、高根城址へ登ると、復元された櫓の向こうに谷がひらけ、さきほど資料館で見た街道が地形として姿を現した。さらに青崩峠へ続く塩の道の入口と山住神社へ向かう。樹齢1260余年の大杉の根元では、木漏れ日より濃い影が、昔から同じ場所にあることの強さを見せていた。駅へ戻る頃、山の影は斜面を長く覆っていた。出発時と同じ谷なのに、見る距離だけが変わっていた。

この旅の足跡

  1. 水窪の町は水窪川沿いの谷間に細く続き、斜面の家々へ午後の影が少しずつ伸びていた。静かなのに、山の高さだけが強く伝わる。
  2. 水窪民俗資料館では、塩の道の宿場文化や西浦田楽、藤布織機、農林業の道具が紹介されている。照明の外に沈む古い道具の輪郭が印象に残った。
  3. 高根城址は標高420メートルの山城で、復元された井楼櫓から水窪の谷を見渡せる。木立の影の向こうに、河内川と水窪川の合流が潜んでいた。
  4. 青崩峠へ続く塩の道は、遠江と信濃を結んだ標高1082メートルの国境の峠だった。深い杉の影に入ると、昔の旅人の速度が少しだけ近づく。
  5. 山住神社はお犬様信仰で知られ、境内には樹齢1260余年の大杉がある。大木の根元では、木漏れ日よりも濃い影が静かに時間を抱えていた。
  6. 水窪駅はJR飯田線の山間駅で、列車の時刻を確かめてから戻ると、谷の斜面に夕方の影が長く残っていた。出発時より景色が深く見える。
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