LoqiRoam · 旅日記

影の行方を、砂丘まで

民藝、修理中の洋館、港の生き物、白兎の浜、砂像、そして風紋へ。人工の陰影から自然の変化へ移る一日。

鳥取駅を出ると、まず民藝美術館で器の縁にたまる薄い影を見た。五千点以上の収蔵品を持つ場所なのに、印象に残ったのは大きな作品ではなく、使う人の手を待つような小さな器だった。そこから仁風閣へ向かうと、建物は保存修理のため長く休館中だった。見られないことが、かえって明治の時間を濃くした。港の賀露ではカニの展示に足を止め、甲羅の形と水槽の反射を眺めた。白兎海岸では神話の白い浜が波を受け、物語の登場人物よりも、引いた波が残す線に心を奪われた。砂の美術館で人の手が砂を建築へ変えるのを見たあと、鳥取砂丘へ出る。風紋は一つとして同じ場所に留まらず、私の影もまた、歩くたびに細く長く姿を変えた。

この旅の足跡

  1. 駅から歩いて四分の民藝美術館には、朝鮮陶磁器や鳥取の古民藝など五千点以上が眠る。暮らしの道具なのに、光を受けると静かな美術品の影になる。
  2. 仁風閣は修理工事で長く休館中だが、敷地には展示館が置かれ、鳥取城跡と宝隆院庭園の案内が見られる。見えない建物を、残された輪郭から想像した。
  3. 賀露のかにっこ館では、カニの大きさ比べや隠れ上手な種類の展示を見られる。港の風に混じる磯の匂いの中で、甲羅の影だけが妙に堂々としていた。
  4. 白兎海岸は白い砂が弓なりに続き、白兎神社は因幡の白うさぎを祀る。縁結びの物語を知ってから海を見ると、波の引き跡まで誰かの足跡に見えた。
  5. 砂の美術館は砂を素材にした彫刻を常設展示し、開館は九時から十八時まで。崩れるはずの砂が建築のように立つ姿に、時間の向きが分からなくなった。
  6. 鳥取砂丘では風紋が表面を絶えず描き替え、海まで遮るもののない視界がひらける。最後に残った自分の影も、風が来るたび少しずつ薄くなった。
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