LoqiRoam · 旅日記
黒部の光、水へ
宇奈月の湯けむりから旧軌道、橋、猫又方面の谷へ光を追った。
黒部宇奈月温泉を出発点にしたが、旅の輪郭は駅前では決まらなかった。富山地方鉄道で宇奈月へ移り、温泉街の明るい道から宇奈月公園の足湯へ入る。約40℃の湯に足を浸すと、山の風が思ったより冷たく、光まで薄くなる。セレネ美術館では黒部峡谷の日本画を見て、外の白い空をいったん深い色の中へ置いた。その後、やまびこ遊歩道のトンネルと旧軌道敷を歩く。人が谷を通すために残した線が、今は散歩の影になる。やまびこ展望台では赤い新山彦橋を列車が横切り、最後は運行区間に合わせて猫又方面へ向かった。終点の名前より、窓の外で岩肌と水面の明るさが少しずつ入れ替わることが、この日の終着だった。
この旅の足跡
- 宇奈月温泉駅から歩いて、町の端に湧く湯けむりを見つけた。駅前の便利さより、谷へ向かう風の冷たさが印象に残る。
- 宇奈月公園の足湯は約40℃で、黒部川の急流に洗われた石が足元に使われている。湯の熱さと山の風が同時に来る。
- セレネ美術館は黒部峡谷の日本画を扱い、4月から10月は17時30分まで開いている。外の白さが、展示室では深い色に沈む。
- やまびこ遊歩道は約1kmで、山彦橋やトンネル、旧軌道敷が続く。道がただの近道ではなく、電源開発の記憶を抱えているのが意外だった。
- やまびこ展望台からは新山彦橋を真下に見られる。赤い橋を渡る列車が一瞬だけ光を横切り、谷の深さが音より先に伝わった。
- 2026年9月末までは黒部峡谷鉄道が宇奈月駅から猫又駅までの折返し運行となる。終点が変わるからこそ、車窓の途中に残る光を長く見たくなる。