LoqiRoam · 旅日記
水音のあと、灰色の道へ
花輪線沿いの町、鉱山の記憶、温泉、神社と滝、そして焼走り熔岩流をつないだ遠回り。
横間を出て、まず花輪線沿いの荒屋新町へ向かった。駅前の静けさを眺めていると、旅は名所を急いで集めるものではなく、町の呼吸に速度を合わせるものだと思えてくる。そこから松尾鉱山資料館で、この山あいが鉱山の記憶を抱えていることを知り、少し重くなった気分を森乃湯の湯気に預けた。次は東へ折れ、桜松神社の境内を抜けて不動の滝へ。神社の奥から聞こえた水音が、予定していた順路をひそかに主役へ変えた。最後は思い切って焼走り熔岩流まで足を伸ばした。苔のついた灰色の溶岩と岩手山を前にすると、さっきの滝とは正反対の、固まった時間が見える。まっすぐな旅なら見落としたはずの転換が、今日はよく残った。
この旅の足跡
- 荒屋新町駅は花輪線の駅なのに、駅前の空気は驚くほど静かだった。列車を待つ時間まで町の一部に見えて、最初の角を曲がるにはちょうどいい。
- 松尾鉱山資料館には旧松尾村の考古・民俗資料と鉱山資料が残る。山の景色だけを見に来たつもりが、地下の記憶に引っぱられるのは少し意外だった。
- 森乃湯は八幡平温泉郷の日帰り温泉で、露天風呂やサウナもある。資料館の硬い時間のあとに湯へ逃げると、旅の計画が急に柔らかくなった。
- 桜松神社は八幡平市高畑にあり、不動の滝と同じ境内の物語を抱えている。山道の途中で神社の名に桜を見つけると、季節まで想像してしまう。
- 不動の滝は桜松神社の境内奥にある高さ約15メートルの滝で、日本の滝百選にも選ばれている。名所の肩書きより、奥から突然聞こえる水音の方が強かった。
- 焼走り熔岩流では、1732年の岩手山噴火で流れた溶岩の凹凸に苔や地衣が生えている。森ではない灰色の道を歩くと、山がまだ動いているように感じた。