LoqiRoam · 旅日記

水音と鉄路のあいだ

鉄道の記憶から神社、滝、山城を経て、丹沢湖の大きな水面へ音の風景をつないだ。

山北駅前では、ふるさと交流センターの木の展示と待合いの気配から始めた。すぐ隣の鉄道公園でD52を見上げると、止まった機関車の向こうに、かつて町を満たしていた発車音が浮かんだ。そこから室生神社へ歩くと、鉄の響きは木立と祭礼の記憶にほどけていく。洒水の滝では、三段の水が道の先から先に聞こえ、歩く速度まで変わった。河村城跡では風と地形を読み、最後は丹沢湖と三保ダムへ。小さな音を拾う旅が、いつの間にか町の水の行き先をたどる旅になっていた。

この旅の足跡

  1. 木造のふるさと交流センターには森林情報の展示と木製ベンチがあり、駅前なのに木の匂いがする。待合いの音まで少し柔らかく感じた。
  2. 山北鉄道公園にはD52形蒸気機関車が保存されている。動かない車体なのに、鉄の重さから昔の発車音を想像してしまう。
  3. 室生神社は山北1200にあり、天児屋根命と日本武命を祀る。境内では祭礼の記憶が、車の音より長く残る気がした。
  4. 洒水の滝は一の滝69mなど三段に水を落とす名瀑で、滝祭りでは道を清める儀式もある。近づくほど音が先に届いた。
  5. 河村城跡は県内で唯一の県指定史跡の中世山城で、洒水の滝へ続く歩きたくなる道にも選ばれている。風の音が地形を読む手がかりになった。
  6. 三保ダムは1979年完成の水道・発電・洪水調節の施設で、丹沢湖をつくっている。広い水面の静けさに、遠い機械音だけが細く混じった。
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