LoqiRoam · 旅日記
海を背にして、曲がり角を七つ
阿字ヶ浦の海から松林、樹叢の社、港の市場、古い商店街、駅へ。景色の明暗と町の生活音に導かれた寄り道の旅。
阿字ヶ浦では、最初から行き先を決めすぎないことにした。海岸の約1.2kmを少し歩き、波の音が背中側へ薄くなったところで、松林と園路のあるひたち海浜公園へ向かう。花を見るつもりが、砂丘や樹林の広がりに歩く速度を変えられた。次に酒列磯前神社へ入ると、木々に包まれた参道の左手から海岸が見える。明るい海辺と暗い樹叢が、思いがけず一枚の景色になった。静けさを抜けた先は那珂湊。市場では水揚げされた魚介の気配に昼食を決められ、古い本町通りでは市場の外側に続く町の時間を拾った。那珂湊駅で保存車両や駅の土産を眺め、最後は商店街の明かりへ。名所を直線で結ぶより、景色が少し変わるたびに曲がった一日だった。
この旅の足跡
- 阿字ヶ浦の海岸は、散歩や読書にも向く約1.2kmの海辺だという。波の音だけを頼りに歩き出すと、最初から予定を決めすぎなくてよかった気がした。
- ひたち海浜公園は、花の名所である前に、砂丘や樹林、草地が連なる大きな園地だった。松林の木陰へ入ると、海辺の風景が急に内向きになって面白い。
- 酒列磯前神社では、樹叢の参道を進むと左手に海岸を望める。木々の暗さの先に海が現れる構成が意外で、社殿より先に道の明暗を覚えてしまった。
- 那珂湊おさかな市場には、朝に水揚げされた魚介を扱う店が並び、飲食店ごとに営業が異なる。何を食べるか決めずに来ても、店先の鮮魚と匂いが先に選択を迫ってくる。
- 那珂湊本町通り商店街は那珂川河口にあり、江戸と東北を結ぶ水運の拠点として栄えた文化を受け継ぐ。市場の看板の外側へ曲がると、観光より長い町の時間が見える。
- 那珂湊駅では、駅窓口で那珂湊焼きそばや鉄道グッズを扱い、車庫には保存車両ケハ601もある。列車を待つつもりが、駅そのものが小さな博物館に見えてきた。
- 那珂湊本町通りの先には、観光バスが集まる市場とは別の商店街の顔が残る。夕方の店先を歩くと、旅の終点を名所ではなく誰かの日常へ返したくなった。