LoqiRoam · 旅日記

石段、水面、鯛めしの午後

城の石段から博物館、庭園、鯛めし、神社、港の交流拠点へ。宇和島の歴史と暮らしを音の変化でたどった午後。

北宇和島で列車の気配を背にすると、旅はまず石段の硬さから始まった。宇和島城では高みへ上がるほど風がほどけ、木の天守と町の音が近づいてきた。伊達博物館で古文書や武具の記憶を拾い直すと、さっきの石垣まで別の時代の声を帯びて見えた。天赦園では池の水面へ耳を移し、鯛めしの一椀で歩く速度までゆっくりになる。午後の後半は和霊神社の大鳥居をくぐり、須賀川の水音に立ち止まった。最後は港のきさいや広場で、真珠や牛鬼、海産物の並ぶ店先を眺める。観光地の宇和島ではなく、誰かの暮らしが続く宇和島へ戻っていった。音をたどったはずなのに、最後に聞こえたのは町そのものの呼吸だった。

この旅の足跡

  1. 天守まで続く石段の先で、宇和島城は現存十二天守の木の気配を感じさせた。高みに立つと、町の音が意外なほど近い。
  2. 伊達博物館には古文書や武具、婚礼調度が伝わる。展示室を歩いたあと、さっきの石垣まで別の時代の声を帯びて見えた。
  3. 天赦園の池と鴨場の面影は、大名庭園なのに音が遠くならない。水面を渡る風を聞いていると、町の中心にいることを忘れそうだった。
  4. 宇和島鯛めしは刺身と卵入りのたれをご飯に重ねる料理。豪快な一椀なのに、箸を置く音までゆっくりになるのが不思議だった。
  5. 和霊神社の一の鳥居は高さ十二メートル余りの石造り。須賀川の太鼓橋を渡ると、車の音が薄れて祈りの空間だけが残った。
  6. きさいや広場は港に隣接し、真珠の紹介や牛鬼の展示、海産物と農産物の売り場が並ぶ。旅の終わりに暮らしの音へ戻れる場所だ。
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