LoqiRoam · 旅日記
小さな駅から、海路の入口まで
伊勢朝日から朝日町の歴史と旧東海道をたどり、桑名の七里の渡跡、石取会館、六華苑、九華公園へ抜ける寄り道の旅。
伊勢朝日を出たとき、目的地は決めていなかった。朝日町歴史博物館で縄生廃寺や町の文化を眺めると、ただの住宅地に見えていた場所にも、古代から近代までの層があるとわかる。そこで少し気が変わり、縄生廃寺跡へ寄った。建物のない場所に立つと、歴史は展示物よりも想像に近い。旧東海道では、昔の旅人と今の生活が同じ道幅に重なっていた。やがて桑名の七里の渡跡に着くと、歩いてきた道が海路へ切り替わる。石取会館で祭車と音の気配を受け取り、六華苑では洋館と和館、庭園の間を気ままに曲がった。最後は九華公園の堀へ。名所を一直線に集めたのではなく、展示、遺跡、街道、水、祭り、建築、城跡の順に、景色の性格が変わるたび次の角を選んだ旅だった。
この旅の足跡
- 朝日町歴史博物館は、縄生廃寺や萬古焼、近代の日本画まで町の時間を一つの展示室に重ねていた。駅前の小さな旅が、いきなり厚みを持つ。
- 縄生廃寺跡は、瓦片の出土から古代寺院の存在を伝える場所だという。目立つ建物が残らないぶん、何もない景色の中に想像が入り込む余地があった。
- 朝日町の旧東海道は、かつて桑名宿と四日市宿の間を旅人が行き交った道。今の暮らしと古い往来が同じ幅の道に重なり、角ごとに時代がずれる。
- 七里の渡跡では、桑名宿と宮宿を結んだ東海道唯一の海路を思う。石垣と水面を前にすると、歩いてきた道が突然、船に乗る旅へ変わった。
- 石取会館には桑名石取祭の三輪祭車があり、鉦と太鼓のお囃子体験もできる。静かな街歩きの途中で、祭りの音だけを先に想像してしまった。
- 六華苑は洋館、和館、池泉回遊式庭園が一続きに現れる。部屋を移るたびに視線の高さが変わり、建物を見るというより、建物の中の曲がり角を旅した。
- 九華公園は桑名城の本丸跡と二の丸跡に整備され、堀の水が緑の間を長く残している。終着のつもりで来たのに、橋をもう一つ渡りたくなった。