LoqiRoam · 旅日記
二つの水面のあいだ
かぶと山から湾の牡蠣棚、久美浜の商家と喫茶、神谷太刀宮を経て、小天橋の砂州で水面の境界を歩いた。
かぶと山の上では、久美浜湾と日本海が別々の顔をしていた。まず湾へ下りると、牡蠣の棚が浮かぶ静けさに出会った。景色だと思っていたものが、誰かの仕事だと分かると、道の見え方が少し変わる。町へ入って豪商稲葉本家の門を覗き、重なった商いの時間を感じたあと、ココットで素朴な休憩を取った。そこから神谷太刀宮へ曲がると、今度は剣の伝承が現れる。最後は小天橋の砂州まで足を伸ばした。湾と外海を分ける細い土地に立つと、出発点で見た二つの水面が、ようやく一枚の旅になった。
この旅の足跡
- 山頂の展望台から、久美浜湾と日本海、その間の小天橋まで一度に見えた。海が二枚あるようで、出発点なのにもう寄り道を始めた気分だ。
- 穏やかな久美浜湾には牡蠣の養殖棚が浮かび、これは飾りではなく土地の仕事の風景だった。静かな水面ほど、背後の手間を想像させる。
- 豪商稲葉本家は久美浜駅から約500メートルの町中にあり、商家の記憶に甘味処が同居する。立派な門を見たあと、何を食べるかで迷うのもよい。
- ココットは久美浜町3423-1にある喫茶店で、駅近くの角にちゃんと日常の休憩が残っている。モーニングの素朴さが、観光の速度を少し鈍らせた。
- 神谷太刀宮には、丹波道主命の国見の剣を祀る由来が伝わる。町中の静かな社なのに、地名の起源まで背負っていて、角を曲がった先が急に神話になる。
- 小天橋は久美浜湾と日本海を隔てる砂州で、約7〜8キロの白砂が続く。湾を見て歩き始めたのに、最後は海を二つに分ける細い土地へ来てしまった。