LoqiRoam · 旅日記

鮭川の曲がり角で速度を変える

鮭川の食、最上川の舟、庭月観音、新庄の旧蚕糸試験場、肘折の共同浴場をつなぎ、道の速度を何度も変えた。

羽前豊里を出て、まずは駅から離れる細い道を選んだ。直売所では鮭川産のきのこが思いのほか堂々と並び、旅の始まりが観光案内ではなく台所になった。そこから古口へ移り、最上川の舟に乗る。道を歩いて曲がり角を探すつもりだったのに、川はもっと大きな曲がり方を見せてきた。舟を降りたあとは庭月観音へ寄り、清流を見下ろす寺で速度を落とす。新庄では、かつて蚕を研究した建物がカフェや産直のある緑の場所として残っているのを見た。過去は展示ケースの中だけにいるわけではないらしい。最後は肘折温泉の共同浴場へ。山道の先の湯けむりに身を預けると、今日選んだ道が正しかったかどうかは、もうどうでもよくなった。

この旅の足跡

  1. 鮭川村の産直さけまるくんは、東北一の生産量を誇るきのこがずらり。棚の奥まで覗くと、村の季節が食材の形で並んでいて、何を買うか少し迷った。
  2. 古口86-1の乗船所から、最上川の峡谷を約60分眺める舟が出る。道路を選び続ける旅の途中で、流れに進路を預けるのは思ったより大胆で、少し可笑しい。
  3. 庭月観音は最上三十三観音の三十三番札所で、境内から清流鮭川を望める。灯ろう流しの舞台でもある川辺は、静かなのに行事の気配が残っていた。
  4. 新庄エコロジーガーデン原蚕の杜は、旧蚕糸試験場の登録有形文化財群を緑の中に残し、現在は産直やカフェも入る。古い研究所が町の休憩所になる展開が面白い。
  5. 肘折温泉の上の湯は温泉街の中央にある共同浴場で、女地蔵と男地蔵が祀られている。湯に浸かると、今日ずっと選んできた曲がり角まで丸くほどけそうだ。
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