LoqiRoam · 旅日記

湯気の先で、橋は道になった

たぬき像から川根の湯、茶の文化、川越しの歴史を経て、蓬莱橋を歩く旅。

神尾から始めた旅は、駅前の静けさを少し裏切るところから動き出した。河原へ下りる道にはたぬきがいて、誰もいないのに先客から肩を叩かれたようだった。大井川の流れを追って川根温泉へ向かい、列車の気配を待ちながら湯に浸かる。そこから家山へ寄り、茶の休憩で山道の速度を落とした。旅の向きが変わったのは、茶の都ミュージアムで茶を飲みものではなく、手仕事と庭と産業として見たとき。島田市博物館では、かつて人が川を渡ること自体が旅の難所だったと知る。その答え合わせのように、最後は蓬莱橋へ出た。897.4メートルの木橋は、橋というより長い一筋の道だった。渡り切っても、川の向こうにまだ曲がり角がありそうで、終着なのに少し落ち着かない。

この旅の足跡

  1. 神尾駅から河原へ降りる途中には信楽焼のたぬき像が置かれている。駅前より、なぜか先に歓迎されている感じがして、川の音を確かめに歩きたくなった。
  2. 川根温泉は源泉掛け流しで、露天風呂から大井川鐵道の列車が見える。湯に浸かりながら列車を待つのは、旅の順番が逆でおもしろい。
  3. 家山の寿園CAFEは茶どころらしい落ち着きがあり、川根の茶を休憩にできる。山道の途中で甘いものを選ぶと、景色まで少し丸く見える。
  4. 茶の都ミュージアムは茶摘みや手もみ、抹茶挽きの体験を扱い、日本庭園も備える。お茶を飲むだけのつもりが、作る手つきまで気になってきた。
  5. 島田市博物館では江戸時代の島田宿と大井川の川越しを、ジオラマビジョンでも紹介している。川を渡る技術が、旅の難所だったことを急に実感した。
  6. 蓬莱橋は明治12年に架けられた全長897.4メートルの木造歩道橋で、通行料は大人100円。橋なのに、渡り始めると一本の長い道になる。
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