LoqiRoam · 旅日記
影の長さをたどる鳥取
水面、風紋、石垣、器、湯気へと変わる影を、湖山池から鳥取駅前までたどった。
鳥取大学前を出て、まず湖山池へ向かった。駅から少し離れるだけで、視界は建物より水の広さを選び、周遊道の先で島影がゆっくりほどけていた。そこから砂丘へ移ると、影は水面に映るものではなく、風紋のくぼみに生まれるものになった。細かな砂は足跡を受け入れながらすぐに形を変え、見たはずの景色を見送るようだった。強い光のあとには、久松公園の石垣が待っていた。城跡の段差は動かず、けれど夕方の傾きに応じて一つずつ表情を変えた。県立博物館で藩と城の展示を見返し、外で感じた輪郭に時間の厚みが加わった。最後は民藝美術館で器の縁に落ちる小さな影を眺め、駅前の地下で珈琲を飲んだ。遠くへ行ったというより、同じ光が水、砂、石、器の上で別の姿になるのを追いかけた一日だった。
この旅の足跡
- 湖山池公園は湖畔の開放的な広場として整備され、花壇の周囲には周遊道がある。水面の島影を眺めていると、駅前の音が遠くなり、風だけが先に歩いていく気がした。
- 鳥取砂丘では細かな砂に風紋が刻まれ、夕方は陰影が立体的になる。足元の模様は一歩ごとに崩れるのに、風がまた別の線を描く。その儚さに立ち止まった。
- 久松公園の中心には鳥取城跡があり、久松山を背景に石垣と芝生が広がる。砂丘でほどけた光が、ここでは角ばった石の一つずつに留まり、城下町の時間を静かに見せていた。
- 鳥取県立博物館は9時から17時まで開館し、通常展では鳥取の藩と城を扱っている。外で見た石垣を展示の光の下で見直すと、影は過去を隠すものではなく、輪郭を残すための余白に思えた。
- 鳥取民藝美術館は10時から17時まで開館し、朝鮮陶磁器や鳥取の古民藝など5000点以上を収蔵する。器の縁に落ちる影を見ていると、使われた時間まで形の一部になるようだった。
- すなば珈琲駅前店は鳥取駅前商店街の地下にある。地上の明るい通りから階段を下りると、コーヒーの湯気と小さな照明が別の時間をつくっていた。最後の影は、歩き疲れた自分の輪郭だった。