LoqiRoam · 旅日記
廃線の道から、蔵と長床へ
廃線跡の散歩道、蔵の町の建築、長床の余白をつなぎ、途中で喜多方ラーメンを味わう旅。
会津豊川を出たとき、旅はまだ駅前の静けさの中にあった。喜多方へ向かうと、かつての線路が自転車歩行者道になり、桜やSLを抱えた散歩道として残っている。鉄道が消えたあとも、人が歩くことで道の記憶は続くのだと思った。そこから蔵の里へ入り、店蔵や味噌蔵が中庭を囲む景色に、町の暮らしが建物の形をしているのを見つけた。甲斐本家蔵座敷では、51畳の座敷や金箔の屏風に目を奪われたが、いちばん印象に残ったのは黒漆喰の静かな深さだった。歩いた分だけお腹が空き、喜多方ラーメンの太いちぢれ麺で町をもう一度味わう。最後は新宮熊野神社へ足を伸ばした。44本の円柱が並ぶ長床は大きいのに軽やかで、三つ目の発見は建物そのものではなく、風が通り抜ける余白だった。
この旅の足跡
- 廃線の軌道敷が約3kmの自転車歩行者道になり、約1000本のしだれ桜とSLが残っている。線路が消えても、道の歩き方だけは続いているのが面白い。
- 旧日中線の道を歩くと、桜の季節だけでなく休憩所やSLがある市民の道だと分かる。観光名所というより、町の余白を借りて歩いている感じがした。
- 蔵の里には店蔵、味噌蔵、穀物蔵、蔵座敷などが中庭を囲む。外観の渋さだけでなく、蔵が町の風景を組み立てていることに気づいた。
- 甲斐本家蔵座敷は黒漆喰の蔵に51畳の座敷と金箔の屏風が残る。大きさに驚くのに、光の入り方は意外に静かで、豪華さが声を張らない。
- 喜多方本店の来夢は11時から21時まで営業し、太いちぢれ麺と、とろけるチャーシューを掲げている。町の歴史を見たあとに食べると、文化が急に湯気を持つ。
- 新宮熊野神社の長床は、44本の円柱が5列に並ぶ吹き抜けの拝殿。広いのに圧迫感がなく、最後に残ったのは建物の大きさより風の通り道だった。