LoqiRoam · 旅日記

音は、古い道から水へ

小奴可の古木から東城の町屋と食を経て、制限のある峡谷を安全に迂回し、水音で旅を閉じた。

小奴可駅を出たとき、最初に聞こえたのは列車の音ではなく、木々の間に残る静けさだった。徒歩で要害桜へ向かうと、推定500年の古木は大きすぎて、眺めるというよりこちらが見られているようだった。そこから東城へ移り、えびすで町の現在に触れ、三楽荘の明治の町屋へ歩く。古い壁の前では、道を急ぐ音まで建物の一部になる。花とカフェが重なるHANATOJYOでは、辛みのある麺と花の気配が思いがけずよく似合った。きんさい市で土地の台所へ寄り道したあと、帝釈峡へ向かう。雄橋周辺に立入制限があると知り、予定を変えて、見られないものを追わないことにした。神龍湖と遊歩道のほうへ回ると、水は姿より先に音で届く。名所を集めたというより、古木、町屋、会話、買い物、水音が少しずつ旅の方向を変えてくれた一日だった。

この旅の足跡

  1. 駅舎を出ると、要害桜は徒歩10分ほど。推定500年の幹は声を出さないのに、足元の空気だけが少し古くなる。
  2. 東城まちなか交流施設えびすは9時から17時。町なかの人の出入りを受け止める場所らしく、旅人の足音も少しだけ町の会話になる気がした。
  3. 三楽荘は明治期の町屋で、東城の景観を代表する建物。成羽川の気配と古い壁の静けさが近く、通りの音まで少し低く聞こえた。
  4. 築100年ほどの家屋を改装したflower&café HANATOJYO。花店とカフェが一つの空間にあり、麺の辛みと店内の花の静けさが不思議に同居している。
  5. 東城きんさい市は川東877にある産直市。季節のものが並ぶ場所なら、観光の声より先に、土地の台所の音を聞けそうだと思った。
  6. 帝釈峡の雄橋周辺は落石で一部立入禁止。だから今回は無理に名所へ近づかず、神龍湖や遊歩道など残る自然の選択肢を、遠くから水音として受け取る。
地図と足跡で読む