LoqiRoam · 旅日記
水の段差から、地下の樽まで
利別川の広がりから堰堤、公園、郷土資料館、葡萄の丘、ワイン城へ。水と木と仕事の影を追い、池田の時間を歩いて受け取った。
利別を出たとき、旅は駅の周りだけで終わるものではないとすぐに分かった。利別川の向こうには畑がひらけ、橋の上では水と土地の境目が曖昧になる。千代田堰堤では流れに大きな段差があり、その下に魚のための通路が続いていた。静かな景色にも、見えない動きがある。清見ヶ丘公園では古いカシワの幹に寄り、春には桜のトンネルになる道を想像した。郷土資料館で農具や鉄道資料を見たあと、まきばの家の丘へ移ると、昔の暮らしが今の葡萄づくりへ細く続いているように感じた。最後にワイン城の地下で樽の木目を眺める。外で伸びていた影は、そこでは年月の深さになっていた。
この旅の足跡
- 利別川は池田町の市街を貫いて十勝川へ合流する。橋の上から畑と川が同じ平面に見え、流れの向こうへ影だけが先に歩いていくようだった。
- 千代田堰堤には魚道があり、サケやニジマスなどの遡上を助けている。大きな水の段差を眺めていると、静かな川にも見えない通路があることに驚く。
- 清見ヶ丘公園には樹齢300年を超えるカシワの大樹と、約600本のエゾヤマザクラがある。花の季節でなくても、太い幹の影には春の記憶が残っていた。
- 池田町郷土資料館には開拓期から昭和の生活用具、農機具、旧国鉄やふるさと銀河線の資料が並ぶ。土器と鉄道具を同じ空間で見る不思議があった。
- 十勝まきばの家は清見のぶどうを使うワイナリーで、丘の上には天然芝の広がりがある。葡萄樹を寒さから守る工夫を知ると、畑の影まで少し健気に見えた。
- いけだワイン城の地下熟成室では、フレンチオーク樽やオールドビンテージが静かに眠っている。外の丘で長く伸びた影が、地下では時間そのものに変わった。