LoqiRoam · 旅日記

水音の先で、山の鈴を聴く

平群の町の賑わいから古墳、巨岩、竜田川、古代の塚を経て、信貴山の山道と眺望へ向かった。

平群では、最初から名所を追いかけなかった。道の駅で野菜や花の並ぶ町の台所を眺め、そこから烏土塚古墳へ歩くと、日常のすぐ下に巨石の石室と古い道具の記憶が沈んでいた。さらに石床神社旧社地では、社殿よりも大きな岩と鳥居だけの静けさに出会う。耳が拾った風を、竜田川の水音がゆっくり洗い流してくれた。梨本の二つの塚では、住宅地の近さがかえって遠い時代を身近にし、最後に信貴山へ上ると、寺の気配と山道の息づかいが重なった。空鉢護法堂から開ける景色のなかで、旅は場所の数ではなく、音の変わり目を覚えて終わった。

この旅の足跡

  1. 道の駅では平群産の野菜や花が並び、珈琲スタンドの気配もある。旅の始まりなのに、町の台所へ招かれたようで少し驚いた。
  2. 烏土塚古墳は巨石を積んだ横穴式石室を持ち、馬具や太刀も出土した。土の下に金属の記憶が眠ると思うと、足音まで慎重になる。
  3. 石床神社の旧社地には高さ七、八メートルほどの巨岩が残り、鳥居だけの原始的な信仰を思わせる。社殿がないぶん、風の音が近い。
  4. 竜田川は平群谷を南へ流れ、遊歩道沿いには季節の気配が残る。水面の音は観光地の説明より先に、この町の時間を教えてくれた。
  5. 長屋王墓と吉備内親王墓は梨本の丘に並ぶ二つの塚として残る。住宅地の近くなのに、古い悲劇が声を低くして続いているようだった。
  6. 朝護孫子寺の山道を上ると、本堂や空鉢護法堂、信貴山城跡が連なり、標高437メートルの山頂から景色が開く。鈴の音が遠くまでほどけていった。
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