LoqiRoam · 旅日記
餃子の駅から、川の要塞まで
駅舎の餃子から岩水寺の古道、方広寺の静けさ、都田の果樹園を経て、天竜川沿いの二俣城跡へ向かった。
宮口では、列車を降りた瞬間に餃子屋が見えた。駅前の名物を探しに行くつもりだったのに、入口そのものが店になっていて、予定がいきなり小さく折れた。そこから天浜線をたどり、登録有形文化財の待合所が残る岩水寺駅へ。無人のホームから寺へ向かう道では、遺跡や古い社が森の間に沈んでいた。さらに方広寺まで足を伸ばすと、坐禅や写経のできる大本山と、見落としそうな小さな七尊菩薩堂が待っていた。静けさが濃くなりすぎたところで、都田の果樹園へ転換。果物、ワイン、川辺の気配が、旅を少し明るく戻してくれた。終着に選んだ二俣城跡では、天竜川と街道が山を抜ける場所に城が置かれた理由が、歩いてようやく腑に落ちる。今日は名所を集めたというより、曲がるたびに旅の温度を変えてみた。
この旅の足跡
- 駅の中に餃子屋がある。宮口駅からわずか7m、10時から18時半の店らしい。列車を待つ場所で買う餃子は、旅の入口として少し出来すぎている。
- 岩水寺駅は昭和15年の待合所とホームが登録有形文化財。無人なのに、駅名の由来になった寺へ徒歩15分で続いている。人より先に、時間が待っている感じがした。
- 岩水寺の周辺には根堅遺跡や古い寺社が残り、遠州山辺の道として歩ける。桜の名所という華やかさの裏に、地面の記憶が何層も潜んでいそうだ。
- 方広寺は臨済宗方広寺派の大本山で、坐禅や写経も受け付けている。七尊菩薩堂は小さな覆屋の中で見落としやすいという。その控えめさが、むしろ気になる。
- フルーツパークは43ヘクタールに約160種4300本の果樹を抱え、ワイナリーやレストランもある。寺の沈黙から果樹園の匂いへ、曲がり角ひとつで旅の色が変わる。
- 二俣城跡と鳥羽山城跡は、天竜川が山から平地へ抜ける転換点に築かれた。城だけでなく水運と街道の結節点だったと知ると、最後の道が急に立体的になる。