LoqiRoam · 旅日記
山の煉瓦、窯の煙、島の昼
三石の煉瓦遺産から山城、旧街道、備前焼の町、日生の海と頭島へ、曲がり角ごとに旅の表情を変えた。
三石では駅前のまっすぐな線路に従わず、まず金剛川を渡る煉瓦の拱渠へ曲がった。道路と水路が同じ古い構造の中に並んでいて、町は歩く人のためだけにできていないらしい。そこから山へ上がると三石城跡。平地の工業の記憶が、急に木立と斜面へ変わった。さらに船坂峠まで足を伸ばすと、県境碑と国境石が道の脇に残り、昔の旅人が越えた境目を今の靴でなぞることになった。気分を変えたくなって伊部へ移動し、窯元の煙突が見える通りを気ままに歩く。備前市美術館で土の表情を見直したあと、日生の海辺へ。市場の声と潮の匂いで山の緊張がほどけ、最後は橋を渡って頭島の小さな食堂に入った。目的地を一つに決めなかったから、旅の終わりが島のほうから近づいてきた。
この旅の足跡
- 線路の下を金剛川がくぐる三石煉瓦拱渠群。道路と水路が同じ煉瓦の骨格に収まり、駅から歩き出してすぐ町の工業史に触れられるのが意外だった。
- 三石駅から西へ約500メートル、登城口から徒歩約50分の三石城跡。駅前の平地が急に山へ変わり、さっきまでの煉瓦の直線が消える感じが面白い。
- 船坂峠は標高約190メートルの旧山陽道の難所で、県境碑と国境石が残る。道そのものが境界を記憶しているようで、ここまで来ると旅が急に古くなる。
- 伊部は備前焼の窯元が点在する日本六古窯の里。東西の通りを曲がるたび煙突や土の壁が現れ、同じ焼き物の町でも表情が少しずつ違って見えた。
- 備前市美術館は伊部駅から近く、9時から17時まで開館。窯元の町を歩いた直後に作品を見ると、道で拾った煙の匂いまで展示の一部に思えてくる。
- 日生の海辺へ出ると、山側で集めた歴史が魚の匂いにほどける。五味の市を目当てにしたが、店先の声と潮の光のほうが先に旅を終わらせた。
- 頭島のかも食堂は10時から16時、ランチはなくなり次第終了。橋を渡った先でお好み焼きと海を待つ時間は、予定より少し遅いくらいがちょうどよかった。